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【コラム】運任せの韓国経済(上)

 韓国経済がどこまで落ち込むのかという話で持ちきりだ。さまざまな景気討論会に足を運ぶと、明確な結論が得られないまま、凶悪な怪物が襲ってくる恐怖感だけを共有して、心に何か引っ掛かったまま終わるばかりだ。

 不吉な予言の中で冗談のように飛び出す話に俗称「運七福三論」というのがある。

 持って生まれた運や福が多ければ、経済は良い方向に行くだろうというあきらめ交じりの運命論だ。専門家の見通しとしてはリラックスするための雑談レベルの話だが、全く根拠がない話でもない。

 盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の5年間、市場原理に反して政策をねじ曲げ、労組が不法ストライキを相次いで起こしても平均4.6%の経済成長を成し遂げた。韓国国内はめちゃくちゃだったが、世界経済が好況だったおかげだ。外から呼び込んだ大運に経済がけん引された格好だ。

 運命論的な分析はこれにとどまらない。「国運が尽きていなければ」と将来を見通すのだ。政府の政策的な努力や危機を乗り切ろうとする国民の意志によって将来が変わるという期待感を放棄したかのようだ。

 憂うつなあきらめの論理にもそれなりの理由がある。李明博(イ・ミョンバク)政権の経済教科書からしてずたずたに破り捨てられてしまった。七大経済強国入りの神話を打ち立てようという旗印もブルドーザー式の成長を約束した看板も跡形もなく消えた。

 経済政策の司令塔に対する信頼度が地に落ちた。為替相場、金利のようなデリケートな事案政策運営が右往左往し信頼を失うと、内閣改造では政策の一貫性を維持するという名分で閣僚を処分せず、次官を「代理更迭」する奇抜な人事をやってのけ、道徳的な信頼まで失った。

 ビジョンが消え、政策運営とリーダーに対する信頼まで全て失われた今、われわれは非科学的な運命論で一筋の光を求めているのかもしれない。ハリケーンに遭遇した旅客船で無免許の船長が海図もなく航海している有様を見た瞬間、ひざまずいて神に祈るしかないように。

 しかし、現在の経済状況は運命論に頼り、ひとまず株などを売って、自然な反発を待つほど悠長に構えてはいられない。ほかでもない食料や大部分の生活必需品に新しい値札が付いている。通勤、テレビ鑑賞、友人との電話でのおしゃべり、子供の誕生日パーティーなど最低限の行動でも費用を気にしなければならないインフレ時代だ。

宋煕永(ソン・ヒヨン)論説室長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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