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半世紀放置された親日派詩人の墓(上)

 先月20日午前、京畿道高陽市の山のふもとにあるキリスト教共同墓地。冬の風が吹きすさぶ墓地の丘に、正装した一人の男性がやって来た。2300基にも上る墓の間を10分ほど歩き回った男性は、丘の頂近くのある墓の前で黙祷した。「盧天命之墓‐ベロニカ(洗礼名)」。そこは「首を長くして悲しむ獣」という詩『鹿』でよく知られる詩人、盧天命(ノ・チョンミョン)=1912‐57=の墓だ。

 高陽市のチョン・ドンイル文化財専門委員は、5年前から年に1、2度ここに足を運ぶ。「高陽市に詩人・盧天命の墓がある」という話を聞き、特に目星もないまま共同墓地を探し歩いたチョン委員は、丸2日かけて詩人の墓を探し出した。案内文一つとしてなく、高陽市に「『鹿』の詩人」が埋葬されているということを知っている人物はほとんどいなかった。チョン委員は、「盧天命が亡くなってから今年で50年になるが、半世紀もの間、訪れる人もなく放置されていた」と語った。

◆親日派との理由で放置、案内表示板一つなし

 生涯独身を通し1957年に亡くなった盧天命は当初、ソウル市広津区中谷洞のキリスト教墓地に埋葬されていた。73年に高陽市へ移葬され、現在は姉のノ・ギヨンさんの隣で眠っている。

 35年間にわたり盧天命の墓を管理してきたミン・ジョンギさん(75歳)は、「どこで話を聞いたのか、毎年4‐5人の大学生が尋ねて来るけれど、墓を探すのが大変なので直接案内している。名前を聞けばよく知っている詩人なのだから、表示板が一つでもあればどれだけいいか…」と語った。

盧天命の墓(右)は、京畿道高陽市にある広さ5万坪のキリスト教墓地に、姉ノ・ギヨンさんの墓と並んで建っている。墓石の裏面には、書家金忠顕の字で、盧天命自身の作品『告別』が刻まれている。/写真=キム・ゴンス客員記者

高陽=キム・ヨンジュ記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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