南大門火災:日本の専門家に聞く再建の課題
窪寺茂氏インタビュー
日本の木造文化財再建において最高峰の専門家と言われる、奈良文化財研究所の窪寺茂建造物研究室長は「現在の崇礼門(南大門)は火災直後の法隆寺金堂よりも悪い状態とは言えない。焦らなければ十分、国宝として復元できる」と語った。
―法隆寺金堂は国宝として残ったが、金閣寺舍利殿は国宝ではなくなった。何がその違いにつながったのか。
「法隆寺金堂は修理、金閣寺は完全に再建により復元した。それは火事で燃え、どれだけの部分が残ったかによる。金閣寺は全焼した。だから新たに建て直したのだ。法隆寺は残った木材があった。それを残すやり方で修復したため、国宝として残った」
―崇礼門はどのような方法を取るべきか。
「残すものは最大限残し、国宝指定を維持すべきだ」
―崇礼門火災は法隆寺よりも深刻な状況では?
「断定できない。テレビ映像で見る限り、残がいには文化財としての価値が十分残っていると思う。崇礼門は決して金閣寺のような状況ではない。ずっと状態がいい。まず、崇礼門は柱が生きているようだ。1階部分の部材もかなり生きている。炭のように見えても、内部の木材が生きていれば修復できる。残った部材を修理して使えば、日本の基準では国宝指定の維持が可能だ」
―ほとんど燃えてしまった木材は?
「法隆寺金堂には焼損し復元できなかった木材を永久保存している。今の技術では不可能でも、将来はそれを復元できる技術ができるかもしれない」
―日本では崇礼門よりもひどい状態だったのにもかかわらず、文化財として復元できた例があるか。
「ある。山口県萩市にある“熊谷家”という民家が代表的なケースだ。重要文化財に指定されていたが、30年前(1977年)の火災でほぼ全焼したものの、修理を経て復元された。今も重要文化財だ」
―復元に際し守らなければならない原則は?
「焦ってはならない。燃え残った木材を徹底的に調査し、生かせる木材はできるだけ生かし、以前の姿に最大限近づけるよう修復するのが大切だ」
―復元まで2~3年かかるという話もあるが。
「日本なら4~5年はかかる。もっとかかるかもしれない。焦ってはならない」
東京=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員
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