【社説】「高句麗は中国史」に続き「渤海も中国史」
中国がかつての渤海(7~10世紀に中国東北地方から朝鮮半島北部にかけて存在した国)の首都だった「上京龍泉府」遺跡の復元作業を進めている。黒龍江省が「唐渤海国上京龍泉府遺址保護条例」の草案をまとめ、今月中に省の人民代表大会で審議するという。中国が渤海の遺跡を復元した後、2007年にユネスコの世界文化遺産への登録を目指す計画だといわれている。上京龍泉府は渤海が926年に滅亡するまで、160年にわたって首都だった所だ。
韓国の学界は、このような動きを中国の渤海遺跡復元が渤海の歴史を中国史の一部に含めようとする「東北工程」(東北地方歴史見直し研究作業)と関連したものとみている。中国が作った「唐渤海国上京龍泉府遺址保護条例」という条例名も、渤海が独立国ではなく「唐の地方政府」であったとする「東北工程」の主張が盛り込まれている。しかし渤海は、唐と形式的な冊封関係にはあったが、独自の年号や諡号(しごう、国王の死後に贈られる贈り名)、「皇帝」の称号を使っていたため、独立国家であったというのが広く知られている事実だ。
中国が高句麗に続き、渤海をも中国の地方史に組み入れようとする「東北工程」を引き続き進めようとしているのは、このプロジェクトが体制の安定と結びついているためだ。中国は1949年以後、現在に至るまで自国領土内に存在する56の民族を全て「中華民族」とみなし、その歴史を中国史に含める「統一的多民族国家論」を主張してきた。少数民族の分離・独立運動を防ぎ、これを中国に統合しようとする目的で、伝統的に敵対関係にあったウイグルやチベット、モンゴルの歴史をも中国史に組み入れている。
しかし、中国が現在の領土内で起こった全ての歴史事象を中国の歴史に含めようとする行過ぎた自国中心主義は、歴史的な事実にそぐわないのみならず、中国自身によっても望ましくないということを自覚するべきだ。中国の56の民族が固有の歴史と文化を強制的に否定されれば、中国政府が目標とする国家統合も内部から揺らぐからだ。
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