政府は12日、総額2兆円の定額給付金について、各市区町村が支給に当たって所得制限を設定する場合、各個人の09年分所得を基準とする方向で調整に入った。09年の所得が基準額を超えた場合に給付金を返す同意書の提出を支給時に求め、09年分所得が確定する翌10年5~6月以降に基準額を超えた受給者に対して返還を求めることを検討している。支給時期は来年3月以降となり、給付金は金融機関の個人口座に振り込む案が有力だ。
所得制限は1800万円を下限に、各市区町村の裁量で設定することができる。制限を超えた場合の返還は、同意書という私的契約を法的根拠とし、新たな法改正などはしない見通し。ただ、所得制限に伴う事務手続きは煩雑で、苦情の殺到も予想されることから、多くの自治体が所得制限を設けないとの見方が強い。
所得基準は各個人ごとで、例えば夫婦など世帯の所得合計が1800万円を超えても、各個人の所得が超えていなければ、それぞれに支給される。各市区町村が個人住民税の課税作業に利用する所得情報では、世帯ごとの合計所得額を把握できないからだ。
振込手数料や土日に窓口を開設した場合などに要した事務経費はすべて国が負担する。15歳以下の子のいる世帯などに対象を絞った99年の地域振興券配布の事務経費は415億円。今回は原則として全世帯が給付対象のため、膨大な額に上る恐れも指摘されている。
給付金は1人当たり1万2000円。18歳以下と65歳以上には8000円を加算する。例えば夫婦と18歳以下の子1人、65歳以上の親1人の4人世帯では、4人分の4万8000円に加算対象の2人分1万6000円を加え、計6万4000円が支給される。加算対象の年齢の基準日は、決まっていない。【石川貴教】
◆定額給付金の概要
・1人1万2000円支給
・18歳以下、65歳以上には1人8000円加算
・金融機関の個人口座振り込みが有力
・所得制限の有無は各市区町村の裁量。09年分所得基準の方向。下限は所得1800万円
・所得基準は世帯合計でなく個人ごと
・年度内に支給開始
毎日新聞 2008年11月12日 21時58分(最終更新 11月13日 0時24分)