2008年11月01日
佐賀錦と大隈重信
村岡屋ギャラリーで開催されている「佐賀錦・池田幸子と門下生による展示会」 に行ってきました。
佐賀錦は縦糸が特殊な和紙、横糸を絹で織り上げた緻密な織物です。
歴史には諸説あって、定説となっているのは鹿島鍋島藩で180年前に考案された織物という事ですが、小城藩では300年も前にあったという説もあります。
明治期になり途絶えていたものを、大隈重信が「佐賀錦」という名で、1920（明治４３）年ロンドンで日英大博覧会に出品し、好評を博したといわれています。
それまでは鹿島錦と呼ばれていたそうで、今でも鹿島では鹿島錦と言います。織り方にも僅かに違いがあるとのことでした。
このあたりのことは多分事実だと思います。
ところが鹿島錦を佐賀に誰が伝えたかという事では、どうも情報が錯綜しているようなのです。
鹿島出身の大隈重信の妻美登が、重信の姉妙子に伝えたのが佐賀に伝えたれたはじまりだと信じられているようです。今日も会場でその話を聞きました。
これは、豊増幸子さんの書かれた「新肥前おんな風土記」によるものだと思います。
私はこれには疑問を持っています。
大隈重信は1838（天保）9年生まれで姉妙子は1829年（文政12）年生まれですので、9歳違いです。妙子は19歳で相良十郎太夫に嫁ぎます。このとき重信は10歳です。
妙子の夫は戊辰戦争で病をえて帰国し亡くなり、その後は大隈家に身を寄せ、一家とともに上京するとあります。
美登は重信が明治元年に新政府の役人として上京する頃に、身を引いたとということですし、翌年には重信は再婚しています。
ですから、美登が妙子に佐賀錦を伝える時間はないと思うのです。
また、鹿島錦は鹿島藩で考案された織物ですが、美登の実家は鹿島にあったとはいえ佐賀藩士なのです。ですから娘時代に鹿島錦を織っていたとは考えにくいのです。
状況的にはそうなのですが、決定的な資料を見たことがないので、これも私の憶測です。
一方、東京では旧華族の間に佐賀錦が再興され評判となったとのことです。
こちらの模様は鹿島、佐賀で織られている佐賀錦とは模様に違いがあります。
重信が再婚した綾子夫人も佐賀錦を織っていたのではないかと問われたのですが、そこは調査していませんので、何ともいえません・・・・。
佐賀錦は縦糸が特殊な和紙、横糸を絹で織り上げた緻密な織物です。
歴史には諸説あって、定説となっているのは鹿島鍋島藩で180年前に考案された織物という事ですが、小城藩では300年も前にあったという説もあります。
明治期になり途絶えていたものを、大隈重信が「佐賀錦」という名で、1920（明治４３）年ロンドンで日英大博覧会に出品し、好評を博したといわれています。
それまでは鹿島錦と呼ばれていたそうで、今でも鹿島では鹿島錦と言います。織り方にも僅かに違いがあるとのことでした。
このあたりのことは多分事実だと思います。
ところが鹿島錦を佐賀に誰が伝えたかという事では、どうも情報が錯綜しているようなのです。
鹿島出身の大隈重信の妻美登が、重信の姉妙子に伝えたのが佐賀に伝えたれたはじまりだと信じられているようです。今日も会場でその話を聞きました。
これは、豊増幸子さんの書かれた「新肥前おんな風土記」によるものだと思います。
私はこれには疑問を持っています。
大隈重信は1838（天保）9年生まれで姉妙子は1829年（文政12）年生まれですので、9歳違いです。妙子は19歳で相良十郎太夫に嫁ぎます。このとき重信は10歳です。
妙子の夫は戊辰戦争で病をえて帰国し亡くなり、その後は大隈家に身を寄せ、一家とともに上京するとあります。
美登は重信が明治元年に新政府の役人として上京する頃に、身を引いたとということですし、翌年には重信は再婚しています。
ですから、美登が妙子に佐賀錦を伝える時間はないと思うのです。
また、鹿島錦は鹿島藩で考案された織物ですが、美登の実家は鹿島にあったとはいえ佐賀藩士なのです。ですから娘時代に鹿島錦を織っていたとは考えにくいのです。
状況的にはそうなのですが、決定的な資料を見たことがないので、これも私の憶測です。
一方、東京では旧華族の間に佐賀錦が再興され評判となったとのことです。
こちらの模様は鹿島、佐賀で織られている佐賀錦とは模様に違いがあります。
重信が再婚した綾子夫人も佐賀錦を織っていたのではないかと問われたのですが、そこは調査していませんので、何ともいえません・・・・。
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この記事へのコメント
1. Posted by Ｇ．Ｉ
2008年11月02日 12:58
２０数年前 京都染織研究会の一員として佐賀錦の研修会に参加。鹿島錦保存会方々から織り出される｢鹿島錦｣根気を要する精緻な綾織りの技、絢爛で気品のある美しさに魅了した事を思い出しました｡ 鹿島には｢鍋島更紗｣の技法を復元された鈴田照次先生、ご子息がその技を伝承され、この度、人間国宝に認定されました。誠に喜ばしいことです。 きっと、鹿島錦の工芸も国の宝として評価されることでしょう。 尚、和更紗の文様は主に鍋島更紗が基です。
2. Posted by sue
2008年11月02日 22:20
G.Iさま
佐賀市の唐人町400年祭で、染色は化学の知識が必要な技術であり、鍋島更紗などが佐賀で発達したのも、佐賀の科学力によるものだとお聞きした事があります。
佐賀の美術工芸の歴史にもっと光が当たればよいのにと思っています。
佐賀市の唐人町400年祭で、染色は化学の知識が必要な技術であり、鍋島更紗などが佐賀で発達したのも、佐賀の科学力によるものだとお聞きした事があります。
佐賀の美術工芸の歴史にもっと光が当たればよいのにと思っています。
3. Posted by ＧＩ
2008年11月03日 10:09
慶長年間の肥前、渡来人｢李九山｣は朝鮮の活字印刷の技法が源の【朝鮮更紗】をもたらし�狷蘚膵梗哭瓩竜蚕僂謀曽気靴泙靴拭５楮衢Я戯悗砲茲辰徳六呂気譴人Я祇�はこの更紗染めの影響を受けています。江戸時代以降の染色技法は更紗の技法に学ぶことが多々ありました。 <鍋島緞通> <鍋島小紋>などの工芸品、歴史と共に注目したいと思います。
4. Posted by nanashi
2008年11月04日 23:12
以前から、佐賀錦に携わる者として
気になっていたので
書き込ませて頂きます。
佐賀の佐賀錦と
東京の佐賀錦
違いは
一目瞭然。
東京で佐賀錦を再興したのは
大隈重信候の綾子婦人と相良好子夫人です。
模様織りは相良好子夫人によって
考案され、明治43年 5月の日英博覧会に
出品され賞賛をえました。
つまり、佐賀の佐賀錦では
不十分だったのです。
ブログの主様はご存知ですね。
佐賀の佐賀錦はもっと
外に目を向けるべし。
主婦と生活社 発行 昭和51年 11月 10日
著者 毛利元博
ページ 40 ~ 41
に出ています。
5. Posted by sue
2008年11月04日 23:55
佐賀錦についてご教示ありがとうございます。
私も佐賀にいて、佐賀錦のことがとても気になっていました。日英博覧会に出品された品々の写真がどこかに残っていないでしょうか・・・。
今佐賀で織られている佐賀錦、鹿島錦を見て、本当にこれが日英博覧会で賞賛を博されたのだろうかと疑問だったのです。
侘び寂を好む日本人ならともかく、単に緻密で珍しい織りという事だけでは英国の人々の眼には留まらないと思ったからです。
私は偶々100年前の佐賀錦といわれる帯と出会い、その模様があまりに佐賀でおられているものと違うので驚きました。そして調べている内に東京で考案された佐賀錦は違うということを知ったのです。
でも、佐賀では、佐賀でおられている佐賀錦が博覧会で賞を取ったと信じられているようです。
おっしゃるとおり、佐賀の人はもっと外に目を向けるべきだと思います。
私も佐賀にいて、佐賀錦のことがとても気になっていました。日英博覧会に出品された品々の写真がどこかに残っていないでしょうか・・・。
今佐賀で織られている佐賀錦、鹿島錦を見て、本当にこれが日英博覧会で賞賛を博されたのだろうかと疑問だったのです。
侘び寂を好む日本人ならともかく、単に緻密で珍しい織りという事だけでは英国の人々の眼には留まらないと思ったからです。
私は偶々100年前の佐賀錦といわれる帯と出会い、その模様があまりに佐賀でおられているものと違うので驚きました。そして調べている内に東京で考案された佐賀錦は違うということを知ったのです。
でも、佐賀では、佐賀でおられている佐賀錦が博覧会で賞を取ったと信じられているようです。
おっしゃるとおり、佐賀の人はもっと外に目を向けるべきだと思います。
6. Posted by nanashi
2008年11月07日 11:53
もう 少し書かせていただきます。
佐賀の佐賀錦の織り手は
もっと上達したくて
あの本を見て
独学で勉強しています。
しかし、限界があります。
現行の制度は
若い織り手を
のばしきっていません。
佐賀錦といえば
全国に通用する
佐賀の数少ない
ブランド名ですが
県も商工会も活かしていません。
もったいない、もったいない
であります。
だから佐賀錦、お先行き真っ暗であります。
お望みの写真は持ち合わせておりません。
申し訳ありません。