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麻生首相の私邸が「貧富の格差の象徴」に

 日本で最近、非正規雇用労働者(パート、アルバイト、派遣社員など)の急増や貧富の格差の拡大が大きな社会不安の要因となっている中、麻生太郎首相の私邸が「貧富の格差の象徴」としてやり玉に挙がっている。

 発端となったのは、先月26日に東京・渋谷で行われたフリーターの労働組合によるデモだ。貧富の格差の問題がいかに深刻であるかをアピールするため、この日集会を開いたものだが、その際にある参加者が、麻生首相の私邸の写真が印刷されたプラカードを掲げ、「麻生首相の家を見に行こう」と叫んだ。集会の様子を監視していた警察が直ちに阻止しようとしたが、その際に参加者らと警察官の間でもみ合いになり、一部の参加者が連行された。この直後、警察は「公務執行妨害などの容疑で、氏名不詳の容疑者3人を逮捕した」と発表した。だが、数十人のデモ参加者らはこの日夕方、麻生首相の私邸を目指してデモ行進を行い、夜には渋谷警察署の前で「警察は金持ちの味方か!」と叫び、参加者の逮捕に抗議した。これは日本では極めて異例の出来事だ。

 この一件が翌27日、さらに波紋を広げることになった。前日のデモの参加者たちが警察に連行される場面を収録したビデオ画像が、インターネットの動画共有サイト「ユーチューブ」にアップされ、アクセス件数は4日現在で20万件に迫る勢いとなっている。

 財閥オーナーの家に生まれた麻生首相の私邸は、渋谷区内の高級住宅地の、2400平方メートルの敷地にある3階建ての洋館で、地価だけで50億円を超えるといわれている。麻生首相は就任後、毎晩ホテルのバーで酒を飲んでいることが明らかになり、一般市民は違和感を覚える、という批判の声が上がっているが、さらに私邸までもが「貧富の格差の象徴」としてやり玉に挙がったことで、麻生首相は困惑を隠せない状況だという。

 日本では最近、非正規雇用労働者の増加や貧富の格差の拡大に伴う事件が相次いでいる。今年6月、7人の命を奪った東京・秋葉原の無差別殺傷事件の犯人が、いつ解雇されるか分からない非正規雇用労働者の不安感が犯行の動機になった、と供述したことから、大きな社会問題になってもいる。

 日本の非正規雇用労働者の数は、昨年末現在で約1731万人に達している。これは被雇用者全体の33%に達し、5年前に比べ20%も増えている。民営化や規制緩和を柱とした、いわゆる「小泉改革」の副産物といえる。

東京=辛貞録(シン・ジョンロク)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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