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【主張】社保庁処分者採用 これでは改革の名が泣く

2008.4.21 02:05
このニュースのトピックス年金問題

 社会保険庁の政府管掌健康保険部門を引き継ぎ、今年10月に発足する「全国健康保険協会」(協会けんぽ)に採用される社保庁職員1800人が内定した。

 このうち71人は、過去に年金記録ののぞき見や、国民年金保険料不正免除・猶予などで減給や戒告処分された人たちだ。訓告などの内部処分者317人を含めると、処分経験者が約2割を占めた。

 社保庁が廃止・解体されることになったのは、職員のデタラメな仕事ぶりが国民の批判を招いたためだ。設立委員会の星野進保委員長は会見で「犯した罪と、いまの態度や周りの評価とのバランスがとれれば採用してもいい」と語ったが、廃止の原因を作った張本人を移行させたのでは、何のための改革なのか分からない。

 選考方法にも問題が多い。採用基準は設立委が決めたが、改革される側の社保庁が移行者をリストアップするというのはおかしな話だ。選考判断に使われた社保庁の人事評価は、査定期間内に懲戒処分を受けた人や、休職許可を得ず労働組合活動に専念する「ヤミ専従」にかかわった職員に高い評価をつけるなど、その甘さが指摘されてきた。しかも、社保庁は意向の確認だけで、採用面接は行っていない。これでは、選抜が公正に行われたのか疑問が残る。

 社保庁の採用候補者名簿を、提示を受けたその日に右から左へと了承を与えた設立委も、その責任を果たしたとは言い難い。不祥事にまみれた社保庁の解体は、行政改革に伴う組織改編とは異なる。設立委は第三者の立場で、一人一人の意欲や能力、適性をよく吟味する必要があったはずだ。

 協会けんぽの採用予定者約2100人のうち、社保庁からの移行組は85%を占めた。民間採用は約300人にすぎない。「業務を円滑に進めるため」が理由だ。

 業務の専門性が求められ、経験のある社保庁職員が多くなるのはやむを得ないにせよ、腐敗した組織の再生こそ社保庁改革の最大の柱だったはずだ。この程度の民間採用では、新風を吹き込むのは難しい。単なる「看板の掛け替え」との批判も免れまい。

 協会けんぽの採用結果は、年金部門を引き継ぐ「日本年金機構」にも影響を与える。社保庁改革で骨抜きを許せば政府の信用は失墜する。福田康夫首相はそのことを肝に銘じるべきだ。

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