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【正論】高崎経済大学教授・八木秀次 教育問題を総選挙の争点に

2008.11.4 03:00
このニュースのトピックス橋下府政

 ≪中山・日教組発言に支持≫

 国土交通相を辞任した中山成彬氏の日教組発言が静かに支持されている。「日教組は教育の癌(がん)」「日教組をぶっ壊せ」などの発言であるが、一般国民はもとより、当初、マスコミの顔色をうかがっていた政治家も町村信孝前官房長官、森喜朗元首相、塩谷立文科相、森山真弓元文相、橋下徹大阪府知事などから支持の声が相次いでいる。

 一連の発言の中でも特に注目されたのは「日教組の強いところは学力が低い」という発言だ。よほど日教組シンパの癇(かん)に障(さわ)ったのか、早々に朝日新聞は「中山説『日教組強いと学力低い』 大臣ズレてます 調べたら無関係」との大見出しを付けた記事(9月27日付)を掲載した。

 「データをたどってみると、成績トップの秋田の日教組の小中学校組織率が5割超で全国平均(34・1%)を大きく超えるなど、全国的な相関関係はうかがえない」というものだが、これは論点をずらした意図的な記事だ。

 中山氏は日教組の「強さ」と言ったが、記事はそれを組織率に置き換えている。そして「『中山説』に合わない」として、組織率も高く学力テストの正答率も高い秋田、富山、福井、静岡、愛知の各県の名前を挙げている。しかしこれらの県は日教組本部が展開するような階級闘争的あるいは反国家的な姿勢とは無縁の穏健で互助会的な組織として知られている。

 ≪朝日新聞の論点すり替え≫

 例えば学力テスト1位の秋田は昭和40年代に組合員の中から教育正常化運動が起こり、以後はイデオロギー色の薄い活動に終始し、中央本部の否定する道徳教育も充実している。国旗国歌も学習指導要領に沿ってきちんと指導している。

 2位の福井も組織率が高い(90%)が、それは管理職も加入しているからで、管理職と教員との対立もなく、以前から独自の学力調査を毎年実施している。

 日教組は各都道府県組織の連合体で、中央本部は依然イデオロギー色の強い闘争的な姿勢を示すが、県によっては保守色の強いところもある。そういう地域は学力も高い。

 この記事は「『中山説』に合わない」として、組織率が低く学力テストの成績も振るわない道府県として大阪と高知を挙げている。高知は学力テストの結果が46位だが、平成元年に日教組から分かれた共産党系の全教(全日本教職員組合)の拠点地域。41位の和歌山も全教の拠点だ。

 中山氏が全教を含めて左翼色の強い教職員組合の代名詞として「日教組」と言っているのであれば、それらが「強い」ところはやはり「学力が低い」。44位の大阪は日教組の組織率が30%ほどで全教も強い地域だが、組合活動が過激なことで知られている。

 日教組中央本部は、朝日の記事に呼応するかのように9月28日、岡本泰良書記長名で「日教組に対する誤った偏見に基づく誹謗(ひぼう)・中傷発言は、断じて容認できない」「『日教組の強いところは学力が低い』発言は何の根拠もなく、学力調査結果からも相関関係がないことは、明確になっている」などと述べた文書を発表している。「日教組の強いところは学力が低い」との発言がよほど目障りと見える。

 ≪民主党の「体質」を問う≫

 「日教組」(全教含む)の「強さ」と学力に相関関係があることは少し考えれば分かることだ。自らの勤労条件の改善ばかりに懸命では子供たちに目が向かなくなるからであり、特定のイデオロギーや政治的主張を子供たちに吹き込むのに一生懸命では本当に必要な「教育」は行えないからだ。

 日教組本部発行『日教組 政策制度要求と提言 2007−2008年度版』には在日米軍基地の整理・縮小・撤去、自衛隊の縮小・改編、定住外国人の地方参政権、「人権侵害救済法」の制定、ジェンダーフリー、夫婦別姓、性教育の充実などの主張が満載されている。当然、「強い」地域では学校でも子供たちに吹き込まれていよう。

 さらに「子ども中心主義」という教育観に立つため、子供の自主性、主体性、個性ばかりが尊重され、教育に不可欠な「強制」が否定される。競争が排除され、進学指導でさえ「選別」「差別」に当たるなどと言う。学力が高くなる要素はない。

 次期総選挙は政権選択の選挙といわれる。日教組は民主党の有力支持母体だ。選挙互助会とも称される民主党には右から左までの多様な議員がいるが、選挙区の保守系の候補者に投票しても、民主党政権になれば、結果として日教組は力を持つ。候補者の資質を超えた党全体の問題ということだ。それを容認するのか否か。日教組問題を含む教育問題を選挙の争点にすべきだ。(やぎ ひでつぐ)

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