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「限界」使わず「いきいき集落」 宮崎県が新呼称決定

2008年11月2日1時22分

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 「限界集落」という呼び方に反感を覚えていた山間部の住民らの声を受け、代わりの呼称を全国から募集していた宮崎県は、寄せられた1890件の中から「いきいき集落」と決めた。過疎化が進む中山間地域の中でも「元気な地域づくりに取り組む集落」と定義。県は、名前にふさわしい集落を募集し、ホームページなどで紹介して地域おこしに一役買いたい考えだが、「言葉を換えても現状は何も変わらない」と冷めた見方もある。

 限界集落は、長野大の大野晃教授が提唱した学術用語で、65歳以上の高齢者が人口の半数を超え、冠婚葬祭など共同体機能の維持が困難な地域、とされる。

 新呼称は東国原英夫知事らによる委員会が選んだ。「活動は花の植栽でも道路の清掃でも構わない。大切なのは住民が主体的に取り組むこと」(知事)としている。

 限界集落は住民のやる気を奪う呼称だ――。知事にそう訴えていた黒木定蔵・西米良村長は「住民にとって精神的圧力だった呼び方を、まずやめることに意義がある」と評価する。

 西都市中心部から車で約1時間の銀鏡(しろみ)地区で民宿を営む区長の浜砂重忠さん(73)は、同じ70代の仲間とともにグリーンツーリズムに取り組んでおり、「いきいき集落はまさに自分たちが目指しているもの」と話す。

 一方、同じ山間地でも冷めた見方の住民も。椎葉村の村おこしNPO「土風緑の会」顧問、黒木勝実さん(72)は「村が寂れるのは若い人がいないから。そこを何とかしなければ」。

 林業が栄えた1950年代半ば、村には1万人以上が暮らしていたが現在は約3200人。「『いきいき』はそんな簡単なものじゃない。行政はまず現状をしっかり見ることが大切だ」と指摘する。

県の担当者は「名称で問題が解決するとは思っていない。まずは、モチベーションを高めることが目的だ」と言う。(阿部彰芳)

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