突然、痴漢の犯人に間違われた痴漢えん罪西武池袋線小林事件・小林卓之さん。被害者女性も逮捕した男性も、犯人の顔や犯行時の手を目撃しておらず、物的証拠もありません。しかも、逮捕した男性は、犯人はお尻の隠れるハーフコートを着ていたと証言しましたが、小林さんは当時、お尻の出るジャンバーを着ていました。また、小林さんは7年前から膠原(こうげん)病強皮症を患っており、指が曲がらず、被害者が主張するような行為はできないことを担当医が証言しました。しかし、裁判所は、ほかの指なら可能だとして、東京地裁も東京高裁も1年10月の実刑判決を言い渡しました。
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こうしたなか、逆転無罪をめざして最高裁への上告趣意書作成に心血を注いで頑張っている最中、小林さんは5月1日に脳梗塞で倒れました。現在も病院で検査・治療にあたっています。2月の東京高裁での控訴棄却後、全国の救援会のみなさんからの励ましや、最高裁への上告後、署名や上申書などが次々と届き、5月15日には、「小林さんとご家族を励ますつどい」を計画、5月20日には最高裁統一要請行動に参加して大きく運動を進めようという矢先でした。
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「励ますつどい」は、練馬区内の人びとや痴漢冤罪でたたかう事件関係者など50人が参加者しました。病院から奥さんも駆けつけ、「まだ絶対安静で検査がつづいています。小林はみなさんによろしくお願いしますと申していました」と病状の報告があり、参加者も最高裁で無罪を勝ちとることが、小林さんが一日も早く元気になることだと支援を強めていくことを確認しました。
5月20日の最高裁統一要請行動では、娘さんがどしゃぶりの雨のなか、他事件の人たちとともに宣伝行動に参加。要請行動では、応対した書記官に、一、二審のあまりにも理不尽で正義に反する有罪判決に対し、病気の父を救うため最高裁が無罪判決を出してほしいと涙を流して訴えました。
小林事件は、3月にテレビ朝日やTBSなどで放映され大きな反響を呼び、5月24日付の『週刊ダイヤモンド』(経済誌)でも「裁判がオカシイ」という特集で、「捕まれば無実の証明は至難 人生を狂わす痴漢冤罪の恐怖」と題して大きく取り上げられています。
支援する会では、地元練馬を中心に痴漢冤罪西武池袋線練馬駅事件と力をあわせて運動を広げ、最高裁が破棄自判の無罪判決を出すよう頑張る決意です。全国のみなさんのひきつづくご支援をよろしくお願いいたします。
〈要請先〉〒102―8651 千代田区隼町4―2 最高裁第1小法廷・才口千晴裁判長
〈激励先〉〒113―0034 文京区湯島2―4―4 平和と労働センター 国民救援会東京都本部気付