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午後3時、突然「全員解雇」 サブプライムで会社破綻(1/2ページ)

2008年11月2日22時13分

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写真説明会に集まった元社員に突然配られた解雇通知=小宮路勝撮影

 米国発の金融不況の波が、日本の生活を脅かしている。不況の波は様々な業界に広がりつつあり、順調に成長していたかに見えた会社にも、余波が押し寄せている。ふだんどおりに出社した人がある日、突然、会社の倒産を知る。そんなことが現実に起きている。(宮地ゆう)

 何かおかしい――。東京都港区に本社がある不動産賃貸の家賃保証会社「リプラス」に勤めていた河原久永さん(37)が異変を感じたのは、「その日」の朝だった。

 9月24日。朝礼で次長が「今月は給料の支払いが29日になります」と言った。いつもなら明日が給料日のはずだった。

 「ちゃんと25日に支払って欲しいんですが」。朝礼後、課長に言うと、「午後3時ごろになったらわかるから」と言われた。

 河原さんは21歳から大手消費者金融に14年間勤めた。しかし、業界全体を覆った利用者の過払い問題、改正貸金業規制法の成立などで会社の経営に暗雲が立ちこめた。「40代になったとき、会社が傾いたとしても、手に職をつけておきたかった。ゆくゆくは独立して不動産業を営みたいとも考えていた」。1年前、「将来性がある」と見込んだリプラスに転職した。

 連帯保証人がいなくても賃貸契約ができる――。02年に設立されたリプラスは不動産業界で新ビジネスを手がけ、東証マザーズ上場の企業に急成長。数年で従業員約千人を抱えた。

 河原さんが配属されていた家賃保証部門は不動産投資部門と合わせ、同社の柱だった。入居予定者は高齢化などで連帯保証人がいなくても、保証料をリプラスに支払うことで賃貸契約を結べ、大家は家賃の保証がされるという仕組みだ。不動産管理会社も次々と加入していた。河原さんは「勢いのある職場だった」と振り返る。一方、不動産投資部門はリプラスがファンドを募り、主に住宅に投資していた。

 午後3時。約200人の社員が社内のフロアに集められた。見たことのない男性がいた。「破産管財人の代理」と名乗った男性は一言、言った。「リプラスは破産手続きを開始しました。10月24日をもって全員解雇します」

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