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2008年10月28日

堺市図書館に大量の同性愛小説

5500冊、過激なイラストも

 「BL(ボーイズラブ)本」というものをご存じだろうか。高校生風の若者が表紙を飾るが、コミックではない。男性同性愛を扱った少女向け小説だ。この夏、堺市の市民が、性描写があり過激なイラストもある「BL本」を公立図書館が大量に購入して、開架するのは青少年育成からも不適切と抗議、改善と実態の公表を迫った。図書館側は五千四百九十九冊を所蔵、購入額は三百六十六万八千八百八十三円と回答した。BL本大量購入の背景を取材した。
(編集委員・鴨野 守)

図書館「市民の要望に応えた」 市議「ポルノと同類、処分を」

picture 堺市立図書館に所蔵されているBL本。表紙はソフトだが、中の文章やイラストは過激なものが多い
 堺市中央図書館の担当者によれば、現在、中央図書館に約二千冊、北・南・西・中図書館にそれぞれ四百冊から八百冊程度ある。平成二年に初めて購入した時は一、二冊程度だった。一番多い年は平成十五年で、五つの図書館で約百冊ずつ購入したという。「図書館側が、主体的に購入したわけではなく、利用者の要望に応えたもの」と説明。

 堺市立図書館が毎年、購入する図書総数は六、七万冊。これに対して、二十万から三十万冊のリクエストが市民から届く。図書選定担当者が新刊図書案内などの資料などを参考にし、事前調査をした上で、毎週、約一日半の時間を費やして千数百冊の購入リストを決定する。ただ、人気のある本には千人以上のリクエストが殺到し、「予約して三年近く待たせてしまい、苦情を頂いたこともあります」。

 BL本については熱烈な一部愛好者がいて、一人で五十枚から百枚の購入希望を申し出る人も。「同じ本を、二十人以上から要望されれば、一、二冊買ってきました」と語る担当者。積もり積もって五千冊を超えたという。

 図書館側は購入時から、BL本を一般書物と同じ本棚で開架するのではなく、書庫に保管し、リクエストがあれば貸し出すという方法をとっていた。だが、頻繁な貸し出しで、書庫に収めず、開架の本棚に並ぶなどルーズな状態にあったところ、市民から苦情があったという。

 担当者は、「ジェンダーフリーも文化と受け止め、購入してきたが、最近は過激なイラストが入っていたり、袋閉じのものが出たりしており、青少年健全育成の観点からも、一定の配慮が必要であると認識し、この二、三年は購入していない。一部に書庫から開架に並べてくれ、という声もあるが、毅然として従来の姿勢を示していきたい」と述べた。

 図書館は学校、博物館とともに行政の教育機関という位置付けがなされており、同図書館では青少年健全育成の観点からポルノ小説、漫画本、ヌード写真集などは購入していないという。

 この件について、水ノ上成彰・堺市会議員は「BL本の中身、イラストを初めて見たが、実質的にポルノ本だ。男女間のセックスを扱ったポルノ本の購入を禁じていながら、男同士のセックスを扱ったBL本購入を容認するのは、おかしい。青少年健全育成の視点からも、公共の図書館からポルノ本に類する書物は処分すべきと考える。教育委員会とも話し合っていきたい」と語った。


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