【ジュネーブ=藤田剛】基本的な人権の保護状況を審査する国連の自由権規約委員会は30日、日本政府に対して死刑制度の廃止や、警察の留置所を拘置所代わりに使う代用監獄問題の是正を求める報告書を公表した。日本の状況を審査して報告書を出すのは1998年以来10年ぶり。制度廃止にまで踏み込んだことで、死刑制度のあり方に一石を投じそうだ。
死刑制度は世界各国で廃止や停止の動きが広がっており、各国の有識者で構成する委員会は日本が世界の動きに逆行して死刑執行を増やしていることを問題視した。日本政府は審査の際に「国民世論も極めて凶悪な犯罪には死刑もやむを得ないと考えている」と反論したが、委員会の賛同は得られなかった。
同委は代用監獄についても廃止や是正を要求。警察の取り調べの過程を録音録画などを行う必要性も指摘した。(14:06)