社会
自立支援法は「憲法違反」 神戸の障害者ら集団提訴へ
提訴に踏み切る吉田さん。パソコンの音声ソフトを使い、弁護士らとやりとりしてきた=神戸市北区の自宅 |
福祉サービスの利用を原則で一割負担とした「障害者自立支援法」について、法の下の平等を定めた憲法に違反しているなどとして、全国各地の障害者が三十一日午後、国や地方自治体に対して一斉に訴訟を起こす。支援法が一昨年に施行された後、利用控えも広がっている。視覚障害があり、神戸地裁に提訴するマッサージ業吉田淳治さん(67)=神戸市北区=は「生きるためのサービスに、なぜ自己負担がいるのか」と疑問を投げかける。(中島摩子)
同法は、身体・知的・精神障害のサービスを一元化。それまでの利用者の所得に応じた負担から転換し、サービスに応じた応益負担とし、一割の定率負担を導入した。
全盲の吉田さんは、視覚障害がある妻しず子さん(71)と二人暮らし。週二回の家事支援と月に数回の移動支援を利用しているが、同法で月約六千円の負担が生じた。
吉田さん夫妻の収入は障害基礎年金の計約十六万四千円と、マッサージで得る四万-五万円を合わせた約二十一万円。「精いっぱい出費を抑えているが、食費や光熱費、一割負担などで、月末には釣り銭しか残らない」と嘆く。
吉田さんは、ヘルパーの介助なしで駅のホームから落ちたこともあり、道を歩くたび危険と隣り合わせとなる。「介助なしでは死ぬ人もいる。応益負担というが、最低限のサービスがなぜ『益』とされるのか」と憤る。
加えて、移動支援の利用には時間制約があるため外出は控えざるを得ないという。「歩くのさえ金がかかり、制限がある私と、障害がない人は平等ではない」。今年八月には県などに不服審査請求をし、自治体窓口に何度も直談判してきた。
「もう裁判しかない」と吉田さん夫妻。「誰もが、いつ障害者になるか分からない。今のままでは『自立疎外法』。なんとか変えたい」とし、裁判では応益負担の廃止を訴える。
(10/31 15:06)
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