ゴマ──アフリカ中部コンゴ民主共和国(旧ザイール)の東部ゴマ近郊で政府軍と交戦していた反政府勢力は29日、政府軍撤退と住民避難を受け、ゴマ市内のパニック状態を食い止めるためとして一方的停戦を宣言した。
市内各地では銃声が響いたが、発砲していたのは撤退中の政府軍とみられる。地元住民は、政府軍が統制を失っているとの認識を示した。
国連報道官は反政府勢力の発表を歓迎する一方、停戦宣言が履行されるかは不明だと述べた。報道官はゴマ市内が全般的にパニック状態にあることを認める一方、市内に反政府勢力は進攻していないと明言し、平和維持部隊が空港などに展開していると語った。
ツチ族の反政府勢力はゴマの北方12キロにあるキバチを制圧し、何千人もの避難民がゴマ市内に流入したとされる。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、29日に同村を逃れたのは4万5000人で、大半は28日に北部の戦闘から避難したばかりだった。
ゴマ当局者はパニック状態が拡大していると述べる一方、政府軍撤退は確認できないとコメント。ただし当局者は、国連平和維持部隊が反政府勢力の進攻を阻止していると強調した。
国連によると、平和維持部隊は1万7000人規模で、すみやかな増強が必要。現時点ではインドやパキスタン、バングラデシュ、ウルグアイ、南アフリカの部隊が大半を占めている。欧州連合(EU)高官の1人は、要請があった場合、増強部隊をコンゴに派遣する用意があるとしている。
このほかコンゴ政府軍は、ツチ族が政権を握っている隣国ルワンダの部隊が29日に越境し、コンゴ政府軍を攻撃したと主張。コンゴ政府は別の隣国アンゴラに「領土保全」の支援を要請した。ルワンダ政府は、直ちに越境攻撃を否定。コンゴ国内の紛争が、周辺各国に飛び火する可能性が懸念されている。