エキスポランドが再生法申請、負債16億円
民事再生法の適用を申請したエキスポランド。風神雷神2は撤去されている(29日、大阪府吹田市で、本社ヘリから)=原田拓未撮影
昨年5月、ジェットコースターの乗客1人が死亡、19人が重軽傷を負った事故が起きた大阪府吹田市の遊園地「エキスポランド」(休園中)を経営するエキスポランド社は29日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請したと、発表した。申請は28日付。負債総額は約16億円。地裁は財産の処分を禁止する保全命令を出した。同社によると、事故後、入場者が激減し、休園で資金繰りが悪化した。来春の再開を目指し、支援企業を探していたが見つからず、自主再建を断念した。今後は、ファミリー型遊園地としての営業再開を目指すという。
同社によると、昨年5月のジェットコースター脱線事故直後、営業を停止。同8月に営業を再開し、イメージ回復のためイベントを積極的に開催するなどしたが、事故によるイメージダウンが大きく、入場者数は前年比80%減少。同12月以降、再び休園していた。
この日、同社で清水忠一社長らが記者会見。事故後、自力での営業再開も視野に入れ、計7社の企業に営業再建の支援を要請していたが、清水社長は「事故によるイメージダウンを払拭できなかった。営業再開後の入場者数の減少が予想以上だったため、支援要請した企業も今後、営業再開しても採算が取れないと判断したと思う」と説明。10月上旬から民事再生法の適用も検討し、今月24日の取締役会で、申請することを最終決定したと述べた。
また、来春の再開を目指していたが、今後の再開時期については「現時点で未定」とし、「今後は、遊具型の施設を脱却し、ふれあい動物園や家庭菜園など家族が楽しめるような遊園地として再生を進めたい」と述べた。
事故を巡っては、車軸の検査を怠るなどしたとして、元取締役総括部長・伊藤正則被告(60)ら3人が業務上過失致死傷容疑などで、法人としての同社が建築基準法違反容疑でそれぞれ書類送検され、今年4月に起訴された。7月の初公判で、伊藤被告らは起訴事実を認めており、公判中。
エキスポランド
1970年に開かれた日本万国博覧会の施設の一つとしてオープン。万博閉幕後、阪急電鉄と大和銀行(現りそな銀行)などの出資で、設立されたエキスポランド社が運営会社となり、72年に遊園地として営業を再開した。広さは約20万平方メートル。事故を起こしたジェットコースター「風神雷神2」は92年に設置された。園内の遊技施設は44施設にのぼっていた。2000年には、累積入場者数5000万人を達成、01年3月期には売上高約50億円を計上した。
(2008年10月29日 読売新聞)