毎日新聞大阪発行☆120年記念キャンペーン

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私の提案:毎日新聞・大阪発行120年 JT生命誌研究館館長・中村桂子さん

=竹内紀臣撮影
=竹内紀臣撮影

 ■私の提案

 ・目先追わぬ学問を

 ・大都会と緑の共生

 ・関西ブランド確立

 --今年、ノーベル賞に日本出身の4人が選ばれました。

 中村 物理学、化学賞とも、授賞業績は30年以上前の仕事。今のままだったら20年、30年後もノーベル賞級の業績が出るかどうか疑問。現在、ちょっと変わった新しいことを考える雰囲気がない。大学が法人化され、競争的資金と言われ、すぐに成果の出ることばかりに追われ、自由度がなくなっている。会議と書類づくりの毎日は、いつかは軌道修正されると思っているが。

 --あらゆる面で東京一極集中が強まるばかりです。

 中村 今の東京に未来は感じない。高層ビルをやたらと建てている。東京・防衛庁の跡地はビルを建てずに森にすべきだったと思う。インテリジェントビルは30年たったら色あせる。逆に木を植えたら、30年で立派な森になる。地球環境にもいい。都市の品格も上がる。

 --街づくりのキーワードは「自然」ということですか。

 中村 自然を生かす新しい技術、ライフスタイルを求める。見わたすと、大阪の周辺には豊かな緑がある。大都会と緑とが一緒に生きるのが21世紀の生き方。そのモデルとなれる。バイオマスは現地主義でしか成立しない。食料も野菜などを都市の近くで自給する。国内の樹木を使って木造の建物を造る。

 こうした自然と大都会が一緒に生きる街作りは、日本が、その中でも関西ができることだ。

 --今年は源氏物語千年紀。京都などが舞台の源氏物語をお読みになって、感ずるところがあったとか。

 中村 源氏物語は、植物や虫などの自然の描写がすばらしい。自然を楽しみ、自然を愛(め)で、それを共有している。千年前に人間と自然が一体となった洗練された文化が日本にあった。これを次の千年に生かさなければ。「環境問題の解決には源氏などの古典に学ぼう」だ。

 --関西を元気にするためにはどうすればいいと思われますか。

 中村 関西の人たちは、「関西」という言葉に求心力を持たせようという意識がなさすぎる。独特の歴史のある京都、神戸、大阪がそれぞれ頑張ろうというのはいい。でも、関西でまとまらないと東京圏には立ち向かえない。奈良も含め関西ブランドを明確に作ること。日本列島は細長く、いわば楕円(だえん)で、中心(焦点)が二つ必要。九州、山陰も巻き込み、関西がまとまってもう一つの「目」になり、アジアを向いてほしい。【聞き手=黒川昭良・科学環境部長】

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 ■私の選択 https://form.mainichi.co.jp/osaka/120/

 ◆前回の結果

(1)月に3冊以上本(雑誌は除く)を読みますか?

   はい 51・4%/いいえ 48・6%

(2)この1年以内に、関西を舞台にした小説を読んだことがありますか?

   はい 33・8%/いいえ 66・2%

(3)携帯小説を読んだことがありますか?

   はい 20・3%/いいえ 79・7%

(4)愛読している小説家はいますか?

   はい 71・6%/いいえ 28・4%

(5)明治時代以降の関西出身の作家の名前を5人以上言えますか?

   はい 37・8%/いいえ 62・2%

 ◆今回の質問 回答期間は(日)~(金)です。

 「日本人のノーベル賞受賞を聞いて、科学や理科への興味・関心が高まった?」など、科学に関する5問です。

 ◇参加方法

 携帯各社の毎日新聞サイトから(無料)

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 地域興しに役立てるため、皆さんのアイデアや意見をメール(o.daimai120@mbx.mainichi.co.jp)でお寄せください。

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 ■人物略歴

 ◇なかむら・けいこ

 JT生命誌研究館(大阪府高槻市)館長、理学博士。東京大理学部化学科卒、同大学院生物化学修了。三菱化学生命科学研究所人間・自然研究部長、早稲田大人間科学部教授などを歴任。東京都出身だが、93年に生命誌研究館の副館長に就任し、その後、大阪大連携大学院教授なども務め、関西での活躍も顕著。主な著書に「見てわかるDNAのしくみ」「いのち愛(め)づる姫」など。72歳。

毎日新聞 2008年10月26日 大阪朝刊

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