新銀行東京(本店・東京都新宿区)の融資を巡る詐欺事件で、逮捕された元新銀行東京契約社員、青木千代美容疑者(56)=町田市=が池袋出張所に着任直後の06年4月、旧知の金融ブローカー、渡部善和容疑者(49)から「(審査の甘い)新銀行東京ならいくらでも金を引き出せる」と持ちかけられ、不正融資を始めたことが分かった。2人は別の会社の元同僚で、報酬目当てに共謀したとみられる。警視庁捜査2課は2人がかかわった他の融資でも同様の不正があったとみて調べる。
青木容疑者らは06年9月、営業実態のない給排水設備会社「リフレックス」(中野区)の決算書類の数字を改ざんするなどして池袋出張所に提出。融資された約5000万円を詐取したとして逮捕された。
調べでは、青木容疑者は06年1月の入行以前、京都市内の部品製造会社に勤務したことがあり、渡部容疑者とは同僚だった。
新銀行東京は05年4月の開業以来、「無担保・無保証」をうたい、書類審査中心の異例のシステムを採用するなど、ずさんな融資を積み重ねたと指摘されている。
詐欺の仕組みを考案したソフトウエア開発会社「アシストプラン」(文京区)会長、大丸正志容疑者(46)から協力を頼まれた渡部容疑者は、こうした審査の実態を悪用。青木容疑者に「手数料は支払う」と持ちかけ、リ社を通じたアシスト社への「迂回融資」を実行させたという。青木容疑者が受け取った成功報酬は100万円だった。
また、警視庁は28日、アシスト社の家宅捜索を行い、同社元財務戦略室長、大杉澄夫容疑者(46)=神戸市須磨区道正台1=を詐欺容疑で逮捕した。一連の事件による逮捕者は8人となった。【杉本修作、酒井祥宏】
毎日新聞 2008年10月28日 15時00分(最終更新 10月28日 15時00分)