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「米兵の公務外犯罪、裁判権放棄の密約」研究者が発掘(1/2ページ)

2008年10月25日5時56分

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 日本に駐留する米兵らの公務外の犯罪について、日米間の協定では裁判権を日本に認めたにもかかわらず、実際には「日本側は重要事件以外の裁判権を放棄する」との「密約」が交わされていたことを示す文書があった、と国際問題研究者の新原昭治さんが23日、発表した。政府は密約の存在を否定している。

 新原さんによると、文書は米国立公文書館に保管されていた。駐留米軍の地位を定めた現行の日米地位協定の前身、旧日米行政協定の改定交渉が進められた1953年10月28日に、日米合同委員会の非公開議事録という形で残されていたという。

 議事録は英文で、日本は「著しく重要」と考える事件以外で裁判権を行使するつもりがない、とした日本側代表の声明を明記していた。

 外務省などによると、52年の締結当初の旧協定は、日本に駐留した米兵の犯罪すべてについて裁判権を米国に認めた。しかし53年の改定交渉で、公務外の犯罪に関する裁判権が日本に委譲された。

 また、新原さんが入手した53年8月25日付の在日米大使館の記録には、米国側が裁判権の放棄の合意を、交換公文などの形で残すことを求めたのに対して、日本側が秘密記録の形を求めたと書かれていたという。米陸軍の「米兵への裁判権行使統計」には、54〜63年で日本に裁判権があった米兵の犯罪のうち、年89〜97%、2300〜4600件で裁判権が放棄されたことが記されていた。

 現行協定でも、公務外の犯罪の裁判権は日本にあることになっている。新原さんは「協定は最初から骨抜きにされていたことになる。本来、日本にある裁判権を密約という形で放棄するのは、主権国家として重大な問題。今も大筋として運用は変わっていないと思う」と話した。

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