民家まで５０メートル/７００世帯停電/嘉手納エアロクラブ所属

　二十四日午後六時三十五分ごろ、名護市真喜屋のサトウキビ畑に米軍嘉手納基地第八二偵察中隊所属の米兵四人が乗った同基地内レクリエーション組織「カデナエアロクラブ」のセスナＣ１７２型一機が不時着炎上した。三人がけがし、そのうち一人が重傷を負った。住民にけがはなく、住宅などへの被害はない。米兵は公務外だった。現場は国道５８号に近く、最も近い民家まで約五十メートル、真喜屋小学校まで約百―二百メートル。県警は航空危険行為処罰法違反の容疑で検証令状を取り、機体を調べる予定。

　沖縄電力によると、不時着したセスナ機が高圧線一本を断線したため、午後六時半ごろから最大七百世帯が停電した。火は周囲の畑にも延焼したが、同午後八時四十分に鎮火した。

　国道５８号の屋我地大橋から名護市稲嶺までの約一キロが通行止めとなり、周辺道路は混雑渋滞した。

　周辺警備は日本側が担当しており、米軍機関は消火活動などに当たった。

　セスナ機に搭乗していたのは四十五歳のパイロットのほか、三十歳、二十八歳、二十四歳のいずれも男性。県警によると、パイロットはあごと左足首骨折の疑いがある。

　名護市消防本部によると、二人は同市の県立北部病院、二人は米軍基地内の海軍病院に運ばれた。

　那覇空港事務所などによると、セスナ機は奄美空港を午後五時八分に離陸し、嘉手納空港に向かっていた。

　乗員らは墜落後、自力で近くのコンビニに駆け込み、救助を求めたという。

　セスナ機は民間機の扱いとみられるが、米軍が軍所属と主張した場合、日米地位協定に基づいて差し押さえなどには米軍の同意が必要になる。

　同クラブの軽飛行機は一九九九年にも米軍嘉手納弾薬庫地区内の道路に不時着し、両翼が破損する事故を起こしている。

経緯説明求める

　島袋吉和名護市長　サトウキビ畑だったから大きな事故につながらなかった。住民にけが人は出なかったが、どういう経緯で落ちたのか、きちんと説明してほしい。事件、事故の防止を日ごろから訴えている。近く、国に事情を聞き、再発防止を求めたい。

極めて遺憾だ

　仲井真弘多知事　地域住民への人身被害はないものの、航空機関連事故は一歩間違えば重大な事故につながりかねず、県民に大きな不安を与えるもので極めて遺憾だ。再発防止や安全管理の徹底について万全を期すよう関係機関に強く申し入れていきたい。