特集/コラム

【エリア特集】2008-10-23

大阪・ミナミを象徴する繁華街「道頓堀」
変わりゆく道頓堀と周辺エリアの今をレポート

 大阪といえば「くいだおれ」。7月8日に惜しまれながら閉店した老舗飲食店の店名でもあるが、もともとは東京の「履き倒れ」、京都の「着倒れ」とともに称された大阪を特徴付ける言葉である。そしてその「食い倒れ」を象徴する場所が、大阪・ミナミの道頓堀。東西に流れる道頓堀川のすぐ南側、東を堺筋、西を御堂筋に挟まれた約500メートルの通りには、「かに道楽」をはじめ、ふぐ店「づぼらや」、お好み焼き店「千房」などの有名店が軒を連ねる。今回の特集では、道頓堀の最新スポット事情と、今後の移り変わりを考察してみた。

戎橋グリコ看板
■超定番のB級グルメ「たこ焼き」「お好み焼き」

道頓堀くくる 大阪といえば「たこ焼き」。歩きながらでも手軽に食べることができるため、屋台も含めると、道頓堀には実に多くのたこ焼き店が存在する。2007年10月に湊町リバープレイスで行われた大阪コナモン博覧会でのイベント「粉もん王座決定戦」の初代王座に輝いたのが「たこ家道頓堀くくる」。とろりとした生地と、大きめのたこが特徴のこの店は、御堂筋に程近く、大きなたこの看板が目印だ。

たこ家 道頓堀くくる 本店
住所:大阪市中央区道頓堀1-10-7
TEL:06-6212-7381
営業時間:12時〜23時(日曜・祝日=12時〜22時)

「粉もん王座決定戦」初代王座に「道頓堀くくる」−大阪の面目守る

道頓堀 赤鬼
 「粉もん王座決定戦」で準王座に輝いた「赤鬼」もまた、道頓堀に店舗を構える。看板の赤鬼が目印のこの店には、しょうゆ味以外にピリ辛ソース、甘口ソース、素焼きと4種類の味が楽しめるほか、たこ焼きがだしに浸かった「ちゃぷちゃぷ」、夏場にはたこ焼きの上にかき氷を載せた「氷ゃ氷ゃ(こりゃこりゃ)」など、バラエティーあふれるメニューが並ぶ。

道頓堀 赤鬼
住所:大阪市中央区道頓堀1-6-9
TEL:06-6211-0269
営業時間:10時〜22時

千房 堺筋側から道頓堀に入り、相合橋を過ぎたあたりにはお好み焼きの名店が店を構えている。千日前で創業し、1992年に道頓堀にビルを構えたのが「千房」。1階〜5階の5つのフロアでお好み焼きを提供する「お好み焼きビル」だ。定番のメニューのほか、予約をすればコース料理も楽しむことができる。5階には高級志向の「ぷれじでんと千房」も入居しており、お好み焼きだけでなく、鉄板焼きやステーキも楽しむことができる。

千房 道頓堀支店
住所:大阪市中央区道頓堀1-5-5
TEL:06-6212-2211
営業時間:11時〜1時(金曜・土曜=11時〜3時、日曜・祝日=11時〜24時)

道とん堀 千房の隣に昨年オープンしたのは全国チェーンのお好み焼き店「道とん堀」。店頭にある大きなたぬきの看板が目印になる。こちらも千房と同様に、地下1階〜地上3階の4つのフロアでお好み焼きを提供する大型店だ。この店の特徴は200種類を超えるお好み焼きのバリエーションの多さで、各階ごとの限定メニューもある。

道とん堀 大阪本店
住所:大阪市中央区道頓堀1-5-5
TEL:06-6484-0128
営業時間:11時〜2時

■見るだけでも楽しい名物看板の店

かに道楽 道頓堀の紹介記事などで必ず掲載されるのが、ご存じ「かに道楽」。1962年に登場した大きな動くカニの看板は、戦後の復興時に「食い倒れ」のシンボルとして認知され、以来道頓堀といえば「かに道楽」のカニ看板、といわれるまでになった。現在までに2度生まれ変わっているが、変わらず観光客の目を楽しませている。道頓堀には戎橋近くの「本店」のほか、太左衛門橋近くの「中店」、堺筋近くの「東店」と合わせて3匹のカニ看板が存在している。

かに道楽 本店
住所:大阪市中央区道頓堀1-6-18
TEL:06-6211-8975
営業時間:11時〜23時

づぼらや カニ看板とともに有名なのが「フグ」の巨大看板。「づぼらや」は戎橋と太左衛門橋のほぼ中央にあるフグの名店だ。てっちり、てっさ、フグ会席などのフグ料理のほか、和牛すき焼きやカニちりなども提供する。

づぼらや 道頓堀店
住所:大阪市中央区道頓堀1-6-10
TEL:06-6211-0181
営業時間:11時〜23時

金龍ラーメン 太左衛門橋のすぐ近く、千日前筋の入口にあるのが「金龍ラーメン」。店名の通り大きな龍の看板が目印で、看板も店内も赤を基調としたデザインでそろえているので目立つ。最近では道頓堀を訪れる観光客が増加したため、食券の券売機のボタン表記には英語、中国語、韓国語を併記しているのが面白い。味はオーソドックスな豚骨ラーメンで、ニンニク、ニラ、キムチ、ご飯が食べ放題なのがうれしい。

金龍ラーメン 道頓堀店
住所:大阪市中央区道頓堀1-7-26
TEL:06-6211-3999
営業時間:24時間営業

串かつ だるま 「ソースの二度漬け禁止」で有名な、大阪の名物といえば串カツ。通天閣のたもと、新世界の「だるま」は行列が絶えない人気店だ。そんなだるまが10月10日に、道頓堀店をオープンした。金龍ラーメンの真向かいで、同社の名物社長が大きく掲げられた看板はインパクトが強い。11月1日からは「だるまビジョン」も登場し、道頓堀にまた1つ街頭ビジョンが増えることになる。

串かつ だるま 道頓堀店
住所:大阪市中央区道頓堀1-6-4
TEL:06-6213-8101
営業時間:11時30分〜22時30分

串かつ「だるま」、道頓堀店を移転−店舗面積拡大で席数増

■知る人ぞ知る老舗の名店も

はり重 道頓堀にはそのほかにもたくさんの老舗の名店が存在する。道頓堀と御堂筋との交差点にある和風の建物が、1919年に創業の老舗精肉店「はり重」。そのはり重がレストランを運営しており、同じ建物内に「日本料理」「洋食レストラン」「軽食レストラン(カレーショップ)」を展開しており、その日の気分や懐具合で店をチョイスすることができる。

はり重 道頓堀本店
住所:大阪市中央区道頓堀1-9-17
TEL:06-6211-7777
営業時間:11時30分〜21時30分、火曜定休

道頓堀 今井 派手な看板の店が多い道頓堀にあって、ひっそりと、しかし気品を漂わせる和風の飲食店がある。今では「うどんの名店」として名高いが、江戸時代は芝居茶屋、大正時代は楽器店だった「道頓堀今井」。一番人気の「きつねうどん」は、北海道産の天然昆布と九州産のカツオを使用しただしと、甘がらく炊いた「きつね」とが最高のマッチングを見せる。

道頓堀 今井
住所:大阪市中央区道頓堀1-7-22
TEL:06-6211-0319
営業時間:11時〜22時、水曜定休

たこ梅 江戸時代末期の1844年に創業した日本一古いおでん店が「たこ梅」。2002年に一度閉店していたが、店舗を改修し2007年に復活した。かつおベースのだしに煮込んだおでんは、「さえずり」と呼ばれる鯨の舌など珍しいものや、「えりんぎ」「つぶ貝」といった季節メニューも提供する。

たこ梅 本店
住所:大阪市中央区道頓堀1-1-8
TEL:06-6211-6201
営業時間:17時〜22時50分(土曜・日曜のみ11時30分〜14時30分に定食を提供)

道頓堀・日本一古いおでん店「たこ梅 本店」が5年ぶりに復活

道頓堀 更科 たこ梅のすぐ近く、堺筋にほど近いところに、1927年に創業した老舗そば店「更科」がある。そばの実の皮を取り除いた面は白っぽく、透明感が特徴。当初メニューはそばのみだったが、現在ではうどんや丼もの、定食なども取りそろえる。

道頓堀 更科
住所:大阪市中央区道頓堀1-1-6
TEL:06-6211-1032
営業時間:平日=11時〜24時、土曜は=11時〜23時、日曜=11時〜21時、火曜定休

■大規模店舗の撤退が続発

B1角座跡 道頓堀は古くから歌舞伎や人形浄瑠璃などの劇場が立ち並ぶ芝居街で、江戸時代には「浪花座」「角座」「中座」「朝日座」「弁天座」の5つの劇場群が「道頓堀五座」として人々に親しまれていた。昭和末期に「角座」「朝日座」「弁天座」が閉館した後、平成に入り「浪花座」「中座」が閉館。その後「角座」跡に「B1角座」が復活していたが、今年5月についに「B1角座」が閉館し、「道頓堀五座」がすべてなくなった。

松竹芸能「B1角座」が閉館−名実ともに「道頓堀五座」の灯が消える

道頓堀極楽商店街 その「浪花座」跡に2004年、大阪の有名店が多数入居するフードテーマパーク「道頓堀極楽商店街」がオープンした。巨大なえべっさんの看板の外観とは裏腹に、中に入ると昭和を思い出させるレトロな街並みが広がり、来館者は「大大阪」時代の古き良き大阪を楽しむことができる施設だ。道頓堀を訪れる観光客らに人気がある施設だが、残念なことに、2009年3月の閉館が明らかになっている。

道頓堀極楽商店街
住所:大阪市中央区道頓堀1-8-22
TEL:06-6212-5515
営業時間:11時〜23時、無休

くいだおれ跡 道頓堀は今でも大阪ミナミ「食い倒れ」の象徴としてメディアにしばしば取り上げられている。しかしながら最近では「道頓堀五座」の消滅、「道頓堀極楽商店街」の撤退など後ろ向きな出来事が続く。このほかにも、複数の有名店の撤退のうわさもささやかれ始めている。一方で、カラオケ店やパチンコ店などの遊技施設が進出する事例も目立ってきた。これらの施設は全国チェーンの店舗であることも多く、道頓堀ならではの店舗が少なくなってきている。

戎橋 一方で道頓堀の南側、道頓堀川の両岸に作られた遊歩道「とんぼりリバーウォーク」が人気を高めている。観光名所としても知られる「戎橋」が昨年11月に82年ぶりに架け替えられ、とんぼりリバーウォークへの回遊性が高められたのもその一因といえそうだ。また戎橋の北端東側にある「KPOキリンプラザ大阪」が昨年10月で閉館し、2009年秋の竣工を目指して丸紅が都市型商業ビルの開発を進めており、戎橋周辺の景色も一変する可能性がある。

ミナミのシンボル「戎橋」82年ぶり架け替え完成−記念式典も 丸紅、道頓堀「キリンプラザ」跡地を取得−都市型商業ビルを来秋開業

■周辺地域との連動の可能性

とんぼりリバーウォーク さらに周辺地域に目を転じると、御堂筋を挟んだ西側の湊町周辺の開発が活発化しており、道頓堀への影響が考えられる。とんぼりリバーウォークは現在、戎橋〜相合橋間の約260メートルが完成、供用されているが、2010年度には湊町〜日本橋間の約1キロメートルが川沿いの遊歩道でつながる予定。開通すると現在よりも徒歩での東西の移動性が高まることから、道頓堀エリアでも道頓堀川に向けた店舗展開が進むものと考えられる。既に複数の店舗が道頓堀川に向けた出入り口を新設しており、今後はとんぼりリバーウォークからのアクセスを考慮した店舗改築も進むものと見られる。

道頓堀川遊歩道「とんぼりリバーウォーク」、太左衛門橋〜相合橋間が完成

 道頓堀のブランド力は絶大で、今でもさまざまな店舗が続々オープンしている。一方で老舗の飲食店が閉店し、劇場や大規模施設が閉鎖に追い込まれるなど「シャッター通り」になる可能性が出てきた。中国や韓国からの観光客が急増するなどし、観光客向けの店舗が増えた一方で、地元の常連が集う店舗が減ったという指摘もある。2000年ごろからは南堀江などの周辺地域が集客力を高めてきており、道頓堀はこれらの地域との回遊性を高める一方で、「食い倒れ」の街としての魅力的な店舗集積が望まれる。

とんぼりリバーウォーク

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