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「くいだおれ」に続き老舗日本料理店が閉店 変わる道頓堀 (1/2ページ)
大阪・道頓堀で昭和30年から続く日本料理店「半田屋」が27日夜、閉店した。座敷や宴会場があり、かつては舞台や映画を見終えた観客らでにぎわった。常連客は「道頓堀でゆっくりと食事ができる店がまたひとつなくなった」と嘆く。「大阪名物くいだおれ」など、シンボル的な店が相次いで閉店し、地元では、変わりゆく道頓堀の姿を憂いている。
半田屋は、昨年4月に閉館した道頓堀東映の向かいにあり、寿司やてっちり、しゃぶしゃぶ、会席料理などを提供してきた。昭和30年に木造2階建ての日本料理店として創業し、40年に宴会場や座敷を備えた6階建てビルに建て替えて、現在の形式になった。
かつては、中座や角座の客や、映画館を訪れる家族連れなどでにぎわったが、道頓堀の客層が中高年から若者や観光客に変わる中、売り上げが減少していた。一昨年秋に、社長の半田和正さん(78)が病気で倒れて以降は、妻のひな子さん(75)と長女の今井和子さん(52)が後を引き受けたが、先月の中ごろ、閉店を決意したという。
今井さんは「父は長年、地元の町会長を務めおり、最近は『道頓堀が変わってしまった』と嘆いていた。地元への責任もあり、元気だったらもう少し頑張れたかもしれない。景気がよければ、父がいなくても続けることはできたが、先が見えない状況で続けることは難しいと判断した」。
くいだおれと閉店の時期が重なったことについては「きっかけになったわけではないが、今の道頓堀は、長いことやってきた店がなくなる時期なのかと感じた」と話した。
店じまいは、取引先やごく親しい常連客だけに伝え、27日はいつも通り営業した。店内で食事をしていた常連客で大阪市平野区の会社員、大浦豊志さん(45)は「子供のころの道頓堀は、家族で映画を観たりごちそうを食べる、よそゆきの街だった。今は観光客向けのたこ焼き店ばかりが目立つ」と惜しんでいた。