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ひと:黒田薫さん=南京大虐殺紀念館初の国際ボランティア

 ◇黒田薫(くろだ・かおる)さん(70)

 中国・南京の「南京大虐殺紀念館」の国際ボランティア第1号として、先月中旬までの2カ月間、日本からの平和団体や労組、学生グループや個人参観者への日本語ガイドを務めた。

 1937年7月の盧溝橋(ろこうきょう)事件で中国に全面侵攻した日本軍が、当時の首都・南京を占領したのは同年12月13日。それからの6週間、日本軍が多数の中国兵捕虜や市民を殺害したり、女性を強姦(ごうかん)するなどした「南京大虐殺」が起きた。

 紀念館は、中国では「30万人以上が犠牲になった」とされる惨禍を伝えようと建てられ、増床工事が昨年完了。6500点もの資料・写真を展示する。日本語の説明もあるが、時間の制約がある来場者には解説ボランティアは貴重な存在だ。

 加害の歴史を考える大阪の市民団体の一員として南京を6回訪問、生存者の証言を聞いたり、現地調査を行った。活動を通じ交流のあった同館から誘いがあった時、「実情を多くの人に知ってほしい」との思いから、賛成してくれた夫を残して南京行きを決めた。

 南京では新聞やテレビで報道されたこともあり、地元の人から話しかけられることも多かった。日本軍の行為を謝罪すると、決まって「歴史の中の出来事。これからは友好を」との反応が返ってきた。

 「その心に応えるためにも南京の歴史事実を忘れまい」との思いを新たにしている。<文と写真・湯谷茂樹>

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 ■人物略歴

 大阪府出身。南京大虐殺60カ年大阪実行委員会の一員として毎年、生存者の証言集会を開いている。

毎日新聞 2008年10月11日 東京朝刊

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