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【茨城】

開発事業の進ちょくに格差 TX沿線問われる市の決断

2008年10月19日

商業ビルなどが次々に建設される研究学園駅前。地区ごとの開発の進み具合の格差は広がる一方だ=つくば市で

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 つくばエクスプレス(TX)が開業して三年余り。研究学園駅周辺は、当時の荒涼とした風景から一変した。駅前には商業ビルやマンションが次々と建設され、周辺の宅地も広がりをみせている。

 TX沿線に五カ所の開発地区を擁する市。一時は駅周辺の地価が上昇を続け、“ミニバブル”と呼ばれる状況が生まれた。だが、うまくいっているケースばかりではない。駅から遠い開発地区では事業の遅れが目立つ。

 つくば駅北東部の「中根・金田台地区」。昨年四月、絶滅の恐れがあるオオタカの営巣が確認され、工事が中断した。事業主体の都市再生機構は営巣中心域を避けて月末に工事を再開する予定だが、環境保護の立場から反対の声が上がる。

 同地区では一九九九年の都市計画決定後、「金田官衙(かんが)遺跡」(国指定史跡)が見つかり、事業認可が大幅にずれ込んだ。

 市は遺跡を含む約五十ヘクタールを「歴史的緑空間用地」として、遺跡を生かした公園に整備するなど複数の利用案を持つ。だが、移転に反対している住民もおり、今後も事業は難航が予想される。

 地権者や周辺住民でつくる、TX沿線桜中部まちづくり協議会は「環境保護派と対立する開発はありえない」として、同用地の自然を残し、住民に移転を求めない新たな土地利用を提案する構えだ。

 同協議会の酒井泉会長は、「土地の価値を高める工夫をしたいが、あまり時間をかけていられない」として、最終的な市の決断を注視する。

 一方、商業施設の誘致が難航する万博記念公園駅西部の「上河原崎・中西地区」。今春、競輪の場外車券売り場の建設計画が浮上。地元のまちづくり協議会が、市に誘致推進の要望書を提出した。

 これに対し、地元の小中学校PTAが中心となって一万七千人余りの反対署名を集め、市などに提出。協議会側は「誘致にはかかわらない」と市に伝えたものの、要望書はまだ撤回されていない。

 この問題について、市長選立候補予定者と市民との対話集会で、元市長の藤沢順一氏は「市民の思いとして、阻止するのは当たり前」、現市長の市原健一氏は「好ましくない施設だが(誘致したい)考え方は分かる。開発を早めに進めなければならない」と考えを述べるにとどまった。

 両氏とも賛成か反対かの立場を明確にせず、会場にいたPTA関係者は「これでは安心できない」とつぶやいた。

  (この企画は小沢伸介が担当しました)

 

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