【モスクワ大木俊治】テヘラン発タス通信によると、イランのノーザリ石油相は21日、ロシア政府系天然ガス企業「ガスプロム」のミレル社長、カタールのアティーヤ・エネルギー産業相と会談し、「天然ガス輸出国機構」の創設に向けた取り組みの開始で合意したことを明らかにした。
ノーザリ石油相は、「3者会談で新機構の早期創設と規約の準備に合意した」と述べ、規約案が3カ国を含む「ガス輸出国フォーラム」(12カ国)の閣僚会合で討議されると表明した。同フォーラムは11月18日にモスクワでエネルギー相会合を開催することになっている。
一方、インタファクス通信によると、ガスプロムのミレル社長は「3カ国で実現可能なプロジェクトを議論する技術委員会の設置で合意した」と述べるにとどめた。このため、新機構は石油輸出国機構(OPEC)のような価格カルテルよりも、共同資源開発などの協力が中心になる可能性もある。
「天然ガス版OPEC」の創設は07年にイランが提唱したが、天然ガスは世界市場が形成されておらず、価格が2国間の長期契約で決められることが多いことから、OPECのような価格カルテルは実現困難との見方が強かった。ただロシアのメドベージェフ大統領は先月、「ガス版OPEC構想は立ち消えになったわけではない」と述べていた。
ロシア、イラン、カタールは天然ガスの国別埋蔵量では1~3位で、3カ国で全世界の埋蔵量の約6割を占める。「ガス輸出国フォーラム」には3カ国のほか、アルジェリア、インドネシア、リビア、マレーシア、ナイジェリア、アラブ首長国連邦、エジプト、トリニダードトバゴ、ベネズエラが加盟。ノルウェーもオブザーバー参加している。
毎日新聞 2008年10月22日 10時04分