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対テロ新法改正案 政局優先ではいけない2008年10月21日

 わが国の国際協力の在り方について、あまりに精彩を欠いた論戦だ。新テロ対策特別措置法改正案が衆院テロ防止・イラク支援特別委員会で自民、公明両党の賛成多数で可決された。
 テロ対策特別措置法は、2001年9月11日の米中枢同時テロを受けて制定された。「9・11」後に米国が行ったアフガニスタンへの軍事行動を日本が支援するために法制化した。
 国連平和維持活動(PKO)への参加ではなく海上自衛隊がインド洋で米軍をはじめ、多国籍軍の艦船などに給油活動を行うため、法制定が必要だった。
 時限立法で3度延長したテロ特措法は07年11月、「ねじれ国会」の下で、根拠法が期限切れとなり失効。活動は一時中断した。
 臨時国会を2度延長した福田政権(当時)は、新テロ対策特措法(補給支援特措法)を提案。衆院の3分の2の賛成を得て、57年ぶりの衆院再可決で、給油活動を1年間延長した。
 今回の新テロ対策特措法改正案は、海上自衛隊のインド洋での給油活動を、さらに1年間延長するものだ。
 同改正案は、21日の衆院本会議で可決された後、参院に論戦が移りねじれ国会の中で、多数野党の反対で否決される。ただし、30日にも衆院で再可決し、成立する見通しだ。
 麻生太郎首相は「国際社会からの評価も高い」と、国際貢献が給油活動しかないと言わんばかりだ。
 一方、早期の衆院解散・総選挙につなげるため、審議を引き延ばさない方針の民主党も論戦に熱心だとは言い難い。
 このように、年初とは対照的な新テロ特措法改正案の審議は、柔軟姿勢の民主党と、それに乗じて法案を通過させようとする政府・与党の思惑が合致し、論戦が湿りがちだ。
 給油継続だけが日本のできる国際貢献の選択肢ではない。わが国の国際貢献の在り方が問われる重要法案だ。国会論議をおろそかにし、政局優先ではいけない。


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