岩村レイズ初優勝!夢のワールドシリーズだ
【レイズ3―1レッドソックス】レイズが19日(日本時間20日)、レッドソックスとのア・リーグ優勝決定シリーズ第7戦を3―1で制し、球団創設11年目で初のリーグ優勝を達成した。岩村明憲内野手(29)は4回に同点につながるチーム初安打を放ち、9回には好守で最後のアウトを記録するなど勝利に貢献した。レイズは史上初となる前年最低勝率からの世界一を目指し、22日(同23日)からナ・リーグ優勝のフィリーズとワールドシリーズを戦う。
9回2死一塁。打球は岩村の前に転がった。顔面目掛けてはね上がったイレギュラーバウンドを力強くつかむと、そのまま二塁ベースへ駆け込んだ。優勝だ。モヒカン隊長の歓喜のジャンプが合図になった。全員がグラウンドになだれ込む。マウンド上でモヒカン軍団が重なり大きな固まりになった。夢じゃない。もみくちゃになった岩村の手にはしっかりとウイニングボールが握られていた。
「きょうが最後というつもりでやった。死んでもいいという覚悟で立っていた。3連敗を覚悟していた。それは正直な気持ちです」
苦しい戦いだった。3勝1敗で迎えた敵地で、7点リードの7回2死からまさかの逆転負け。30球団最高の勝率・704を誇った本拠地でも敗れ、逆王手をかけられた。逆風の中で迎えた優勝決定戦。シーズン中3度しかないミーティングを選手同士寄り添うように開いた。誰もが決死の覚悟を抱いていた。
この日も1番打者として道を切り開いた。1点を追う4回。「死球でもいい、と思い踏み込んだ」と先頭でレスターから初の走者となる左前打。これが同点につながり5回には3連打で勝ち越し。7回にはアイバーのソロで追加点を奪った。
1年前。30球団最低勝率に沈んだ岩村は、東京でア・リーグ優勝決定シリーズの解説を2試合担当した。「この舞台に立てるなんて当時は夢にも思えなかった。今思えばいい経験。その悔しさが今回に生きた」。一生で一番負けた失意の96敗を経て、一生で一番勝った104勝の今がある。
チームに勢いを付けようと始めたモヒカン刈りも、初めはヤジの対象でしかなかった。だがバ声にもひるまず結果を残す姿がチームを一つにした。ナインだけでなくファンもマネた。いつしか勢いよく伸びるトサカは快進撃の象徴になった。
メジャー“最弱”からの世界一が見えてきた。9人が力を合わせればプレーオフに進む8球団になれるという意味の「9=8」を掲げてきたマドン監督は「次は9=1だ。9=1になれるよう力を貸してくれ」と4万大観衆に呼びかけた。
歓喜の輪が解けた後、岩村はウイニングボールをそっとポケットにしまった。「大事に持ってますよ。たぶん球団に取られると思いますけど。ワールドシリーズで勝ったらもう誰も気にしないでしょ。もっと大きなものをこれからつかむんだから」。昨年まで夢のまた夢だったチャンピオンリング。シャンパンファイトで真っ赤になった目にはその輪郭がはっきりととらえられていた。
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MLB=岩村レイズ、球団初のワールドシリーズ進出 10月20日(月) 14時12分 (トムソンロイター) |
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