北朝鮮が世界各地の在外公館に対し、職員らの外出を禁ずる「禁足令」を出していたことが分かり、政府は情報の確認や分析に追われる事態となっている。
情報は17日朝にもたらされ、北朝鮮が16日夜までに「禁足令」を発し、本国からは「近く重大な発表がある」との理由が付けられている−というものだった。
金正日総書記が9月9日に平壌で行われた建国60年の記念行事に姿を見せなかったことなどから、重病説も流れるさなかの情報だけに、政府関係者の間には緊張が走った。
「禁足令」について、複数の日朝関係者は「特別待機命令」として14日から16日にかけて出されたものだと指摘するとともに、「北朝鮮は20日から外国人の入国を禁止すると聞いている」と説明する。出張などで在外公館を出ている高官は、公館に戻るよう指示されたという。
別の日朝関係者は「北朝鮮外交官の亡命が相次いだため、今回とは別に、約2週間前にも長期外出禁止令が出された」としている。
国交のない日本で、北朝鮮の出先機関的な役割を果たしているとみられる朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)では、18日早朝、中央本部が幹部に対し、海外渡航禁止と国内旅行自粛を指示したことがわかった。
「禁足令」の情報について、外務省は「否定も肯定もしない」としているが、政府内では「金総書記が死亡したことによる後継者の発表ではないか」「クーデターによる政変」といった憶測も出ている。
また、防衛省筋は「北朝鮮に目立った軍事的動きは見られない」とする一方で「20日に重大情報の表明がある」との情報も得て、今回の「禁足令」との関連について分析を急いでいる。
一連の情報が、金総書記の健康問題と関連しているかどうかは不明だが、「北朝鮮が外部からの情報流入、外部との接触を警戒しているのは確かで、内部引き締め政策の可能性もある」(日朝関係筋)との分析もなされている。
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