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歯治療の「補てつ物」、輸入急増 厚労省が実態調査へ(1/2ページ)

2008年10月18日19時29分

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 歯の治療で使われる「補てつ物」に、中国や東南アジアからの輸入品が増えている。補てつ物の使用には規制がなく、外国製の輸入状況も不明で、歯科医らの間では材料の安全性や品質に対する不安の声が広がっている。厚生労働省は6千人を超える全国の歯科医に近くアンケートし、使用実態を調べる。

 補てつ物は、金属やセラミックが原料の、歯にかぶせる冠や入れ歯。歯科医や歯科技工士が製作してきた。だが、全国保険医団体連合会によると、近年は外国製が目立って増えてきた。

 外国製は国内製の半値ほどで、歯科医が個人的に輸入したり、歯科技工所が中国などの技工所に製作を委託したりするようになったという。

 こうした実情を把握するため、厚労省は近くアンケートを始めることになった。日本歯科医師会の約6万5千人の会員から、約1割の歯科医を無作為に抽出し、アンケートを配布。年末までの回収を目指す。

 調査項目は(1)海外に補てつ物を委託した数(2)委託した内容(3)委託して不都合はあったか――など。専門家6人を加えて、アンケート結果を検討する。

 歯科医が補てつ物を輸入し使用することは治療の一環とされ、法的な規制はない。また、「世界的に問題が生じたという報告はない」(厚労省歯科保健課)という。

 それでも、多くの歯科医が「健康被害が出てからでは遅い」と、外国製の補てつ物調査を求めてきた。

 厚労省が調査に取り組むのは、現場の不安の声に押されたためだ。それでも補てつ物の中身の分析に踏み込まない調査のため、どこまで実態が解明できるか不透明だ。

 歯科医でもある同連合会の成田博之理事は「中国製だから問題というのではなく、今のままでは安全性を確保できないことが問題だ。製作者の資格、材料や施設の基準、輸入時の安全検査が必要だ」と話している。(山本奈朱香)

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