日本原子力研究開発機構は16日、今世紀末のエネルギー需給と原発の役割をまとめた初の報告書「2100年原子力ビジョン」を公表した。電気自動車の普及などで電力需要が高まり、全エネルギーに占める電力の比率は24%から62%に高まる一方、化石燃料依存度は75%から28%に下がるという。
2100年の人口を6407万人とし、国内エネルギー消費量は人口減や省エネで2000年に比べて42%減と予測した。
発電量に占める軽水炉など核分裂の割合は2100年には53%に達するが、石油は0%と試算した。核融合炉が33基、水素燃料を同時に作れる小型原発の高温ガス炉は120基稼働し、軽水炉などと合わせて計231基に達すると見込んでいる。高レベル廃棄物処分場は、現在計画中の約5倍が必要という。同機構は「建設適地などを想定したものではない。技術的可能性を示した」としている。
一方、経済協力開発機構も同日、初の報告書を発表した。2050年に世界の原発の発電容量は、各国の新増設計画がすべて実現すると3・8倍に増えると試算した。【山田大輔】
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◆発電量に占める割合◆
(%)
2100年 (2000年)
核分裂 53 (30)
(軽水炉など)
核融合 14 (0)
石炭 13 (20)
水力 8 (9)
天然ガス 6 (24)
新エネルギー 6 (0)
石油 0 (17)
◆国内の商用原発数◆
2050年 2100年
軽水炉 72 26
(現在55基)
高速増殖炉 8 52
核融合炉 0 33
高温ガス炉 20 120
(いずれも原研機構予測)
毎日新聞 2008年10月17日 東京朝刊