【イスラマバード11日共同】十日に発効した米国とインドの原子力協定の動きを受け、インドと対立するパキスタン政府が原発二基の新設を決め、先月、友好国の中国に建設への協力を求めたことが十一日分かった。複数のパキスタン政府当局者が明らかにした。ザルダリ大統領は十四日から訪中予定で、経済協力に加えて主要議題となるとみられる。
米印協定によるインドの核開発能力増強を懸念した対抗措置だが、中国の協力を得るには、米印同様に、原子力関連資機材の輸出管理を行う原子力供給国グループ(NSG)で承認が必要。「核の闇市場」を通じ核技術を拡散させたパキスタンへの協力には米国などの反発が必至だ。
パキスタン政府は、米国が同じ核拡散防止条約(NPT)非加盟国のインドを特例扱いし、核燃料などの輸出を認めた協定を結んだことをとらえ、中国との技術協力の正当性を訴える構えだ。
当局者によるとパキスタン政府は先月、中部パンジャブ州チャシュマで総額十七億ドル(約千七百億円)を投じ二基の原発新設計画を正式決定、中国政府に技術協力を要請した。
チャシュマには既に中国が建設協力した原発二基があるが、中国がNSGに加盟した二〇〇四年以前のもので、中国は〇六年の首脳会談では原発供与を見送った。
パキスタンの電力不足は深刻で、政府は二十基以上の原発建設を計画している。
一九九八年に相次いで核実験を実施したインドとパキスタンはカシミール地方の領有権を争い対立。国境問題を抱えるインドと中国の関係も悪く、中国とパキスタンは伝統的に緊密な関係を維持してきた。
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