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タイとカンボジア、強気崩せず 衝突、双方に国内事情(1/2ページ)

2008年10月16日21時47分

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写真16日、タイとの国境近くでパトロールするカンボジア軍兵士ら=AP

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 【バンコク=柴田直治】世界遺産のクメール寺院プレアビヒア周辺の領有権を巡り武力衝突を繰り返すタイとカンボジアの軍高官が16日、現地で交渉し、共同パトロールの実施で合意した。だが、和平への道筋が見えたわけではない。タイ政局の混乱が紛争激化のきっかけとなり、カンボジアではナショナリズムが高まっている。双方とも簡単に引けない事情を抱えている。

 「タイ軍が24時間以内に撤退しなければ、交戦も辞さない」。死者2人、負傷者10人を出した15日の交戦は、13日のカンボジアのフン・セン首相の発言が引き金だった。プノンペンを訪れたタイのソムポン副首相兼外相がフン・セン首相と友好的に会談した数時間後で、タイ側は困惑。両軍が部隊を増強し、緊張が一気に高まった。

 タイのソムチャイ首相はその時、政権維持の瀬戸際に立たされていた。

 13日午後、バンコク近郊の寺には数千人の群衆が集まった。警察が7日に、国会を封鎖した反政府団体・民主主義市民連合(PAD)の支持者を催涙弾で強制排除した際に死亡した女性(28)の葬儀。シリキット王妃が出席し「良い娘だ。国を救い王室を守った」と遺族に声を掛け、「国王から」と香典を出したという。王室がPAD側にいることを示したとみられている。

 窮地のソムチャイ首相は13日、プミポン国王と面会。直後にフン・セン発言が飛び込み、国民の関心は内政から一気に国境紛争に向かった。

 タイでは、タクシン元首相が義弟のソムチャイ首相を救うため旧知のフン・セン首相に助けを求めたとの説と、タイの内政混乱につけ込んで領有権争いを有利に進めようとするフン・セン首相の作戦という説が流れる。

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