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廃校の私立図書館が休館3か月、文庫45万冊残したまま

「としょかん文庫やさん」が使用している旧庄司小の校内には大量の本が残されたまま(北九州市門司区で)

 北九州市で廃校になった小学校の校舎を利用し、NPO法人が開設していた文庫専門の私立図書館が、7月末から休館している。運営費不足が理由で、全国から寄せられるなどした約45万冊は館内に残ったまま。「再開は難しく、本を運び出すめども立たない」という。

 廃校を貸している市は退去を求めることも検討しているが、大量の文庫本をどう扱うかという問題もあり、対応は決まっていない。

 NPO法人は「としょかん文庫やさん」。北九州市で文庫本専門の古書店「ふるほん文庫やさん」を経営していた谷口雅男理事長(62)が設立した。文庫本の魅力を伝えようと2001年11月、廃校になっていた門司区の市立庄司小校舎に、全国でも例のない文庫専門図書館を開館した。

 蔵書は全国に寄贈を募ったほか、谷口理事長が店から持ち込むなどして確保し、無料で貸し出した。03年には廃校活用の優れた事例を集めた文部科学省の「廃校リニューアル50選」に選ばれた。

 運営費は年間約12万円の校舎賃料のほか人件費、光熱費など。当初は無休で年間数百万円かかったが、支援者からの寄付金や、谷口理事長のポケットマネーで賄った。しかし寄付金も集まらなくなり、利用者も減少、開館日を減らしてきた。

 昨年11月には、谷口理事長の古書店が経営上の理由から広島県三原市に移転。図書館のスタッフでもあった従業員らの大半も北九州市を離れた。最近は利用者も年間30人程度まで落ち込んだことから、今年からは北九州に残ったスタッフ1人を担当とし、日曜日限定で開館していた。

2008年10月14日  読売新聞)
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