【バンコク=山本大輔】世界遺産登録されたクメール寺院プレアビヒア周辺の領有権をめぐって争うカンボジアとタイの両軍は15日午後、係争地内で再び交戦し、カンボジア兵2人が死亡、タイ側6人、カンボジア側2人が負傷した。交戦は3日以来2度目で死者が出たのは初めて。両国は外交解決を目指して13日に副首相会談を開いたが不調に終わり、双方が部隊を増強するなど緊張が高まっていた。
タイ軍筋によると、交戦は係争地内の2カ所で起き、約40分間続いた。タイ、カンボジア双方が「相手が銃撃を始めた」と主張している。カンボジア政府はタイ兵10人を拘束したと発表した。国境付近では両国の住民が避難を始めており、混乱が広がっている。
寺院周辺では3日に銃撃戦があったほか、6日にはタイ兵2人が地雷を踏んで重傷を負った。タイ軍はカンボジア軍が最近埋設した地雷だとして反発。部隊の一部がカンボジア領内に進入した。これに対しカンボジアのフン・セン首相が13日、「24時間以内に撤退しなければ戦争になる」と警告。その部隊は後退したが、タイ軍は国境地帯の兵力は逆に増強していた。