東京のスーパーで販売された中国製の冷凍インゲンを食べた主婦が体調不良を訴え、一時入院していた問題。冷凍インゲンからは基準値の3万倍を超える濃度の殺虫剤「ジクロルボス」が検出され、警視庁は人為的な混入の可能性が高いとみて調べています。
「ここら辺がしびれた感じで、口の周りが。この辺がむかむかしちゃって息苦しい感じになって」(冷凍インゲンを食べ、一時入院した主婦)
こう語る東京・八王子市に住む56歳の主婦。主婦が口にしたのは中国製の「冷凍インゲン」でした。
この主婦は今月11日、市内のスーパー「イトーヨーカドー南大沢店」で「冷凍インゲン」を購入。翌日の12日に調理したインゲンを味見した際に、舌のしびれや胸のむかつきを感じ、一時入院しました。
「お皿に盛る前にちょっと試食をしたら、もう食べられる状態じゃなくて、ぱっと吐き出してしまって。袋の中のにおいを直接臭いをかいだら、石油系みたいな臭い、食べ物じゃないようなすごい臭いがして」(一時入院した主婦)
「回収されたものの現物を確認しました。で、その後これは異常だと、異臭がするということを私が判断しましたので、売り場にある在庫12個について全部撤去しました」(イトーヨーカドー南大沢店 井手文典店長)
保健所が調べたところ、主婦が購入した「冷凍インゲン」からは、ある殺虫剤が検出されたのです。未調理のインゲンからは基準値のおよそ3万5000倍の6900ppmの「ジクロルボス」が、調理済みのインゲンからも4000ppmを超える濃度で検出されました。袋には目立った穴などは見つかりませんでした。
「6900ppmという濃度は、意図的な混入か、重大な過失によるもの以外ありえない」(東京都の会見)
「ジクロルボス」は中国や日本で農薬などに使われる有機リン系の殺虫剤で、厚生労働省は、今回のような高い濃度の場合、インゲンを1本でも食べると健康被害が出るとしています。
「(ジクロルボスの)においはかすかに芳香臭、弱いにおいがする。(今回の検出濃度は)通常の残留レベルではとてもない。非常に高い濃度になります」(東京都健康安全研究センター 永山敏広 科長)
主婦が購入した11日にこのスーパーで販売された同じ商品はあわせて46袋で、スーパーに残されていた未開封の1袋からはジクロルボスは検出されませんでした。警視庁は、濃度の高さなどから、ジクロルボスが人為的に混入された可能性が高いとみて調べています。
問題の冷凍インゲンは、中国・山東省にある会社が製造したものでした。
問題のインゲンが出荷された中国の工場では、「インゲンを栽培する際、ジクロルボスはそもそも使っていなかった」と断言しました。商品として包装するに至るまでジクロルボスを使ったことはないし、保管もしていないと説明しました。
Q.インゲンの栽培にジクロルボスは?
「それは使ってないです、使ってません」(煙台北海食品 金城邦樹 副社長)
「色々な調査をしっかり真剣に行い、原因を究明できるよう頑張ってます」(煙台北海食品 藍明徳 社長)
問題のインゲンは中国・黒龍江省で栽培・収穫され、冷凍する作業までここで行われたと言います。その後、山東省の工場に運ばれ、今年7月に最終的な包装作業が行われました。
「煙台北海食品ではビデオなどで工場内の撮影など行っており、そういった意味での安全につきましては、万全を期しているところでございます」(ニチレイフーズ 相馬義比古 社長)
こちらの家庭には、問題になったインゲンと同じ商品が残されていました。見てみますと、色に変わったところはありません。においも問題はないように感じます。
日本に輸入されたもののうち、同じ工程で製造されたロット番号が同じ商品はおよそ7万袋。8月15日に東京税関を通り、うち3万8000袋が9月以降にイトーヨーカドーなど1都10県の331店舗で販売されました。
Q.同じロット番号の商品だと気付いた時は?
「びっくりですよね。まさか自分の手元にあるとは思わないじゃないですか、普通。場所も離れたところだったので、本当に驚き」JLdBj$K$J$C$?%$%s%2%s$HF1$8>&IJ$rGc$C$?=w@-!K
厚労省は、中国の煙台北海食品が製造したすべての食品の輸入手続きを保留する措置をとりました。(15日16:31)