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スイカ普及、消える都心の券売機 跡地活用にJR意欲

2008年10月13日

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写真案内図やポスターなどが掲示されている、切符の券売機があったスペース=1日午後、JR新宿駅、中田徹撮影

 都心のJRの駅から近距離切符用の券売機が姿を消している。切符を買わずに改札を通れるIC乗車券Suica(スイカ)が普及し、切符を買う人が急速に減っているためだ。JRは新たな商機ととらえ、跡地利用に頭をひねっている。

 1日に80万近い人が乗車するJR新宿駅。スイカが登場した01年度末には114台の券売機があったが、94台(07年度末)に減った。新たな改札口ができて一部で券売機が増えたにもかかわらず、全体で2割近く減っている。

 地下東口では券売機12台が撤去され、幅10メートルのスペースがポカッと空いた。今はキャッシングが出来る現金自動出入機(ATM)を設置したり、周辺の地図などを掲示したりしている。埼玉県川口市に住む男性(75)は「ほとんど、券売機を使わなくなった。遠くに行く際に切符を買う時だけ」と話す。

 同社が首都圏を中心とした424駅にスイカ改札機を導入したのは01年11月。今は647駅にある。事前に入金しておけば、切符を買わなくても、スイカを読み取り機にかざすだけで改札を通ることが出来る。04年10月に発行1千万枚を突破、今年8月末までに2591万枚に達した。

 スイカの普及につれ、券売機の利用は減った。JR東日本の近距離収入のうち、券売機を使って買った切符が占める割合は01年度は62%だったが、07年度は29%に半減。逆にIC乗車券を使ったのは12%から59%に増えた。

 JR東日本によると、一般的な券売機の大きさは、高さ1.6メートル、幅0.5メートル、奥行き約1メートル。山手線が走る全29駅では01年度末から今年3月までに、全体の3割に当たる272台が撤去された。単純計算すると、都心の駅構内の一等地に幅136メートルの新たな空間が生まれたことになる。

 JR東日本幹部は跡地利用について「(コンビニなど)単なる商業施設ではなく、地方の物産を置くなど情報発信の場としても使いたい」と話す。

 関東の私鉄などは共同で07年3月、IC乗車券PASMO(パスモ)を導入した。しかし、券売機の撤去の動きはまだ目立っていない。

 九つの地下鉄路線を持つ東京メトロ。パスモ導入前は全168駅に1154台の券売機があったが、9月時点で1149台(6月開業の副都心線分は除く)。同社は「券売機の利用状況の様子を見たい」と説明する。

 東急電鉄では490台(98駅)のまま変わらず、撤去は「長期的には検討していく」(同社広報)という。小田急電鉄も318台(70駅)のままで、「券売機でチャージも出来るので、減らしていない」(同社広報)という。

 鉄道評論家の川島令三さんは「キャッシュレスという時代の流れの中、券売機があまり使われなくなったのは事実。鉄道以外の分野でもうけてもらって、運賃の値上げをしないならいい。ただ、あまりにも減らすと、IC乗車券を持っていない人が困る」と話す。(峯俊一平)

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