2:01 pm

昨日、台湾の千秋楽を迎えた。
大勢のお客様が集まった。日本からもかなりの方々が来てくださった。
新舞台劇場恒例の会場時の銅鑼も、グアシャラーンと、
あたかも台湾公演の名残を惜しむ様にやや悲しげに鳴り響いた。

舞台は、熱かった。
役者たちの、こんなに温かい台湾公演のお客様に、なにがなんでも熱で答えようとする気迫が伝わって来た。
千秋楽ならではもいくつか出た。
バリカンシーンでは阪本リョーマくんのでんぐり返し登場に歓声がわいた。
あまり千秋楽だから何かいつもと違うことをやるのをたぶん彼は好きなほうではないのではと思うけど、
でんぐり返しはナイスアイディアだと思う。ちょっとお茶目ぐらいでリョーマっぽかった。
松崎タニシくん、聖バイキングホーンくんの体を張った叩きあいもついにとび蹴りまでエスカレートし、
巨体の熱演サービスと高校生聖くんへの同情に大拍手が起こった。
カーテンコールでの工くんの濃厚な投げキッスにうっとり歓声が巻き起こり、
加藤くんも負けじと、バウでいきなり、バック宙を繰り出し、やんやの大喝采を浴びた。
最後に李くんの挨拶で、いつもあんな明るい彼からついに涙が流れた。
そうだろう、3月の台湾でのオーディションからどれだけのがんばりをしたのだろう、
がんばって頑張ってようやく少し慣れたと思ったらもう明日は舞台に立てない、
どの公演回でも最大級の拍手をもらった彼の心の中には、
すでに台湾公演が始まったときから涙が流れていたように思う。

千秋楽が終わり、退館では驚いた。
ファンの方々がきちんと自分たちで境界線を作り花道を演出してくれた。
まるで劇場内にいた方がそのままそこに勢ぞろいしているかのように、
嬉しそうな顔、顔、顔が、たくさんたくさん並んだ。
カメラのシャッター音が連続し、役者たちもそれに手を振ってこたえた。
わずか楽屋口からマイクロバスまでの十数メートルの花道だけど、
台湾ならではだろう、国際親善に貢献した一瞬だった。

それから近所の101タワー85階のイタリアンレストランでプチ豪華な食事会になった。
みんなおなかがすいていて長い話をしようものなら何か飛んできそうな気配だったから
僕の挨拶はごく簡単にした。
もう明日本番はない、という安心感からか、やりおおせた達成感からか、みんなはしゃいだ。
ばっしーも、僕がリクエストした千秋楽の楽屋挨拶での恒例の一芸、
考えた末に何も出てこなかったのだけど、
そのリベンジに、何かクシャっと顔をつぶす変な顔面芸を披露し、評価を少し取り返した。
TAKUYAくんが、片岡さんトイレがやばいです、
おしっこするとき空に向かってするみたいで気持ちいい、と変なこと言うから、観に行ってきたら、
ガラス張りのトイレ、天井が前倒しに前方にせり出して足もとのガラスが斜めに足の下側に入り込んでいる、
便器が空中に浮かんでいるような構造になっている、
下界には台北市内の夜景がはるかに続き、確かにおしっこは空中に飛散しているかもしれない。
あれっ、女子側はどうなってるんだろう、誰か確かめておいてくれませんか、気になる。
おなかが一段落したら、記念の写メ大会になり、僕も阪本君と収まった。
りゅうちゃんとワッシーはずーっとビールを飲み続けていた。
デザートのケーキ食べながらビール飲めるって何なんだろう、
おまけにワッシーは一気飲みしてるし…、よくわからないです。

こうして門限が外れた夜は更けて行った。

早朝、まだ暗いうちにホテルを出て、今、僕は、東京に着いてばかり。
高速バスで、古川くんと並んで、新宿村スタジオに向かっている、
「2ステップス」のダンス稽古、上島さんと中河内くんたちが待っている。
古川くんに、台湾どうだったって聞いたら、
めちゃめちゃおもしろかった、新鮮だった、お客さんの反応が日本も温かいけど、違った温かさがあり、
舞台上も、もらった熱をガーンと返そうと…と手をガーンと小さく一振りした。

疲れは感じない、ちょっと興奮しているからだろうか。