米卸売加工会社「三笠フーズ」(大阪市北区)の汚染米転売問題で、大阪、福岡、熊本の3府県警は24日午前、食品衛生法違反(残留農薬基準違反)と不正競争防止法違反(虚偽表示)容疑で、三笠フーズ本社や同社九州工場など7都府県二十数カ所の家宅捜索に入り、関係者から事情を聴き始めた。農薬やカビに汚染された輸入米を食用に転売して利ざやを稼ぐ悪質な食品偽装は刑事事件に発展。3府県警は合同捜査本部を設置。詐欺容疑も視野に実態解明を進める。
調べでは、三笠フーズと関連会社「辰之巳」(東京都)の2社は昨年11月ごろ~今年1月ごろ、福岡県の仲介業者らを介し、食品衛生法の基準値を超える殺虫剤メタミドホス0.02ppmが残留する中国産餅米約110トンを、福岡県の米穀販売会社に販売。さらに今年5月ごろ、ベトナム産米約5.4トンを国産であるかのように表記し、熊本県の酒造会社「美少年酒造」に販売した疑いが持たれている。農林水産省は今月11日、このルートで、両社を不正競争防止法違反容疑で熊本県警に告発している。
また3府県警は、三笠フーズが福岡県の米穀販売会社に中国産餅米を販売する際に国産と偽装していた疑いがあるとして捜査する。
農水省によると、三笠フーズは03年度以降、国や商社から汚染米約2600トンを購入し、約1410トンから基準値を超える農薬やカビ毒アフラトキシンB1を検出した。市場に転売されたのは約570トンで、全国約390社に流通した。美少年酒造に販売したベトナム産米からは、基準値を超える殺虫剤アセタミプリドが検出されている。
一連の汚染米問題は8月末、同省に匿名の通報があり、立ち入り調査をして発覚。その後、不正を見抜けなかった同省の検査体制の不備が明らかになり、太田誠一農相と白須敏朗事務次官が今月19日、引責辞任した。【久木田照子】
毎日新聞 2008年9月24日 9時41分(最終更新 9月24日 18時22分)