ニュース韓国当局、悪質書き込みを集中取り締まり 「サイバー侮辱罪」の早期成立図るネットの書き込みを苦にした女優が自殺した問題で、韓国当局はネット上の悪質な書き込みを常習的に行うユーザーの集中取り締まりを始めた。政府は「サイバー侮辱罪」の早期成立も目指している。2008年10月07日 18時04分 更新
【ソウル=水沼啓子】韓国の人気女優、崔真実(チェ・ジンシル)さん(39)の自殺を受けて韓国警察庁は6日から、インターネット上で虚偽の事実を流布し、悪質な書き込みを常習的に行う人物の集中取り締まりを始めた。11月5日まで1カ月間、サイバー犯罪専門捜査員900人を総動員する。崔さんがネット上での人格攻撃が引き金で自殺したことから、韓国政府はサイバー侮辱罪の早期成立も目指している。 崔さんは、プロ野球元巨人投手、趙成●(=王へんに民)(チョ・ソンミン)氏(35)の元妻で、2日早朝に自宅浴室で首をつって死んでいるのが発見された。「偽名を使って高利貸を営み、最近自殺したタレントにも貸していた」などとネット上に書き込まれたことを苦にしての自殺とされる。 国民的スターの自殺が韓国社会に与えた影響は大きく、韓国警察は取り締まりの強化に乗り出した。対象は、個人または団体に関する虚偽情報を流布したり、ネット上で悪質な書き込みを行う行為▽ネット掲示板、電子メール、携帯メールなどを利用した脅迫行為▽恐怖心、不安感を誘発するネット上の書き込みを執拗(しつよう)に行うストーカー行為−などとなっている。 とくに虚偽の情報をネット上で流布した場合、軽微なものであってもその内容などから悪質と判断されれば、被疑者を徹底追跡して割り出し、逮捕するなど、厳しく取り締まる方針だ。 一方、与党ハンナラ党は崔さんの自殺を契機に情報通信法を改正し、告訴がなくても捜査して処罰できる「サイバー侮辱罪」と、利用者の多いウェブサイトのみを対象に行っているインターネット実名制(本人と確認された場合のみ書き込みが可能)を拡大させる案を主張している。 これに対して、野党民主党は「インターネット空間を監視統制しようとしている」「政府批判の世論形成への介入だ」「無差別に表現の自由を萎縮(いしゅく)させるべきではない」などと反対、与野党の間で攻防が続いている。 韓国では、ネットの書き込みが原因で有名人が自殺するケースは少なくない。3年前には人気女優のイ・ウンジュさん、昨年は人気歌手のユニさんと女優のチョン・ダビンさんが相次いで自殺した。韓国の聯合ニュースによると、ハンナラ党の田麗玉議員は「正確な統計はないが、崔さんなど芸能人を含む20〜30人がネット上の悪質な書き込みが原因で自殺したと推定される」と指摘している。 関連記事
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