半世紀近くも前にクラゲから見つけた光る物質がその後、自分でも予想しないほど、医学の発展に役立った。8日、日本人で5人目のノーベル化学賞の受賞が決まった下村脩さん(80)。ノーベル財団によると京都府福知山市生まれで、大阪市内の旧制中学に在籍していたこともある。米マサチューセッツ州の自宅で就寝中の早朝、電話で受賞を知らされ、まさに「寝耳に水」。授賞理由となった研究と同じく、本人にとって予想外の展開だった。
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下村さんは戦時中、大阪市の旧制住吉中学(現・大阪府立住吉高校)に通った。同級生だった小林直夫さん(79)=同市西成区=は、化学方程式を書いたメモを突然見せて「化合させるとどうなるのかな」と聞いてきたのを覚えている。「ノーベル賞を受賞する人間が身近にいたなんて、誇らしい」と話した。
荒川不二さん(81)=東京都多摩市=も同級生。「当時は勤労動員に行かされたので、あまり勉強できなかった。ある意味、勉強に飢えていたのかも」と振り返った。
住吉高校の中野悦次校長(59)は学校で、古い写真や同窓会名簿を出して、確認に追われた。「先輩の活躍は在校生の励み。挑戦や努力の伝統を受け継いでほしい」
京都府福知山市の松山正治市長(70)は「今朝、市役所で福知山ゆかりの受賞者が出ないかと話していた。びっくりしている。地元の子どもたちの学習意欲が高まれば」と期待を語った。