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ドル資金難解消へ政府が全面攻勢

 ドル資金の調達難がさらに悪化し、政府が全面的な攻勢に出た。市中銀行に政府の外貨準備ばかり頼りにせず、直接ドルを買うように圧力をかけ、為替不安に対しては積極的な説明に努めている。

 企画財政部の関係者は「不安心理の拡散を早めに防ぐことが目的だ」と説明した。銀行への圧力は国家主導型の金融システムの復活を連想させるとの指摘もある。相次ぐ対策にも市場は安定せず、当局者の間ではいらいらムードが広がっている。

◆「自前でドル調達を」と銀行に圧力

 姜万洙(カン・マンス)企画財政部長官、全光宇(チョン・グァンウ)金融委員長、金鍾昶(キム・ジョンチャン)金融監督院長は6日、ソウル市の銀行会館での市中銀行の銀行長(頭取)との懇談会で警告メッセージを送った。

 姜長官はドル資金難に直面している市中銀行が外貨準備高にだけ依存するモラルハザードに厳しく対応すると述べ、銀行に自助努力を求めた。そして、自助努力の例として、▲外貨建て証券など海外資産の売却▲海外に預けている大企業や海外在住韓国人の外貨預金を国内に誘致する▲政府系企業による海外借り入れ-などを挙げた。銀行のモラルハザードに対しては罰則金利を課すとも警告した。

 全委員長は、中小企業が銀行の融資回収で黒字倒産に追い込まれることがないようにするため、銀行幹部による中小企業支援実績を継続的にチェックしていく方針を示した。金院長は「銀行は配当を自制し、有償増資と劣後債の発行を通じ、自己資本を拡充するよう努力してほしい」と注文を付けた。

 外貨準備や対外債務に対する市場での不安心理に対しては、相次いで内部資料を公開することで反論している。企画財政部は同日、「外貨準備額の適正性分析」と題する資料で、政府の外貨準備額の余裕が170億ドル(約1兆7320億円)にすぎないとする一部主張に対し、「金融機関の流動資産やロールオーバー(満期延長)を全く考慮しない非現実的な仮定に基づいている」と指摘した。

◆対策に効果なく政府困惑

 しかし、対策は効果を発揮せず、金融市場の混乱が続いており、政府関係者は当惑した表情だ。企画財政部当局者は「原因が韓国ではなく米国にあるため、政府の対策には限界があるのではないか」と述べた。別の当局者は「政府が対策を示し、説明を行っても、市場は反対の意味に受け取り、逆効果を生む。こうした疑心暗鬼の時代には政府が取れる選択の幅は非常に小さい」と指摘した。

 韓国政府は6日、経済成長見通しを7月に続き下方修正した。姜長官は国政監査業務報告で、今年の成長率目標値(4%台後半)の達成は難しいことを認めた。

 現在の経済状況について、姜長官は「国内の金融市場不安は相当の期間続き、実体経済にまで影響が及ぶ」との認識を示した。

金起勲(キム・ギフン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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