イグ・ノーベル賞

北大の中垣さんたちがイグ・ノーベル賞だそうですね。
粘菌が迷路やシュタイナー問題を「解く」という研究です。
最適化問題を生物に解かせるというのは面白い話で、まだまだ関連する話はいろいろ出てきそうです。
うまいこと設定して、日本地図の上で線路を引かせてみたら、現実に引かれているJRの路線とわりとよく一致するそうで、JRも粘菌なみの最適化をしているということなのでしょう。
 
イグ・ノーベル賞は「本当にどうしようもない研究」にも与えられていて(というより、僕は最初のうち、そういうものにしか与えられない賞なのかと思っていました)、イグ・ノーベル賞受賞というだけでは肯定的評価とも否定的評価ともとれないのですが、粘菌の話は研究の面白さが肯定的に評価されたのだろうと思います。Natureの論文だし

.....

COGNITIVE SCIENCE PRIZE. Toshiyuki Nakagaki of Hokkaido University, Japan, Hiroyasu Yamada of Nagoya, Japan, Ryo Kobayashi of Hiroshima University, Atsushi Tero of Presto JST, Akio Ishiguro of Tohoku University, and Ágotá Tóth of the University of Szeged, Hungary, for discovering that slime molds can solve puzzles.
REFERENCE: "Intelligence: Maze-Solving by an Amoeboid Organism," Toshiyuki Nakagaki, Hiroyasu Yamada, and Ágota Tóth, Nature, vol. 407, September 2000, p. 470.
WHO ATTENDED THE CEREMONY: Toshiyuki Nakagaki, Ryo Kobayashi, Atsushi Tero

.....

中垣さん、小林さん、手老さんは授賞式に行かれたのですね。

― posted by きくち at 01:44 pm commentComment [25] pingTrackBack [0]

この記事に対するコメント[25件]

1. ながぴい — October 3, 2008 @16:14:56

イグ・ノーベル賞はケルブランとかベンベニストとか、とんでもさんも受賞してるし、わりとちゃんとした研究も受賞してますね。その辺は境界がないのでしょう。
 
日本では、わりとちゃんとしたモノ(バウリンガルとかカラオケとか…)が受賞しているので、それなりに権威のあるものと思われているような。
(ドクター中松も受賞してるけど…)
 
ノーベル賞とイグ・ノーベル賞を同時受賞する人が現れたら、おもしろいんだけどなぁ

Owner Comment きくち  October 3, 2008 @16:31:17

もともとはignorableのもじりですよね、たぶん

3. yam — October 3, 2008 @16:23:09

手元の積読にイグノーベル賞の本が1冊あったのでチラっとみましたが
「人々を笑わせ、そして考えさせた人」そして「誰も研究しないようなこと」が受賞大賞らしいです
世間の関心を得るようなものなら何でもいいんじゃないですかね
トンドモが圧倒的に多いのは確かですが

4. ROCKY 江藤 — October 3, 2008 @17:31:18

>小林教授は「狙っていても取れない賞。研究が『受けた』のはとてもうれしい」としている。
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/world/jiji-081003X669.htmlLink
とのことで、授賞されたご本人は良く「分かって」いらっしゃるようです。

Up5. 早川 — October 3, 2008 @17:45:05

凄い。去年か一昨年にHavardのMahadevanがイグノーベル賞を貰っています。彼は真面目な筋での評価も高く、やはり相当なレベルでないとイグノーベル賞は貰えません。

6. BUNTEN — October 3, 2008 @19:32:14

イグのない方のノーベル賞取ってもいい気がします。>年金迷路泥沼、じゃない粘菌迷路解決

7. ながぴい — October 4, 2008 @14:08:04

イグ・ノーベル賞は下ネタも大好きですが、
今年の化学賞について、以下のような報道が一部でなされたため、
あらぬ誤解を招いているようです。
 
http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-34089020081003Link
「コーラの殺精子効果研究など受賞=イグ・ノーベル賞」
>ボストン大学医療センターのチームによるコーラの殺精子効果の研究は「化学賞」を受賞。
>1985年に発表された研究だが、受賞者の一人であるデボラ・アンダーソンさんは当時、コーラが避妊薬として利用されていたことから研究に着手。
>その後、エイズウイルスの感染を防ぐ効果もあることも突き止めたとしている。
 
しかし、この報道は不正確で、より正確な報道は以下のようなもの。
 
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200810030007.htmlLink
「「コカ・コーラの避妊効果」研究にイグ・ノーベル化学賞」
>「コカ・コーラに避妊効果がある」との研究は、米ボストン大学医学部のデボラ・アンダーソン教授が1985年に、米医学誌の権威ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに発表したもの。
>コカ・コーラの中でも、特にダイエット・コークの避妊効果が最も高かったという。
 
>同様の研究は台湾の研究グループも行っており、同時受賞となった。
>しかし、台湾のグループは、コカ・コーラならびに他のソフトドリンクには「避妊効果がない」ことを確認している。

8. ゆんゆん探偵 — October 4, 2008 @15:13:32

>(ドクター中松も受賞してるけど…)

ドクター中松は日本だと権威扱いかも知れない罠。

9. 黒木 燐 Website — October 5, 2008 @03:11:26

こんばんは。
腰痛がひどいので、病院に行ったら、見事に背骨が右側に曲がってました。
一度曲がった背骨は元に戻らないらしい。PCに張り付きの弊害です。

ところで、イグノーベル賞とかラズベリー賞とかダーウイン賞とかいう、洒落っぽいの、好きです。まあ、ダーウイン賞はもらったほうは洒落にならないですが。

Up10. さむ — October 6, 2008 @01:40:36

粘菌迷路は漫画「もやしもん」でも取り上げられてましたね。電子回路最適化の分野でも応用を考えている人がいるようです。

イグノーベル賞の授賞式は、スピーチでウケを取らなければいけないそうです。しかも、出席費用は自己負担。
紙飛行機が受賞者に目がけて飛ばされ、それを掃除するのはノーベル賞受賞者グライバー博士だそうで。

11. 杜松 — October 6, 2008 @03:58:00

古典的なプラトー問題(シャボン玉)と何がどう違うのか、いまいちよく分からないんですけど。面と線という違いだけでもないような気がするのですが
こういうことをもし本人に言うと、モチベーションを理解していないってことで嫌な顔されるのかな

Owner Comment きくち  October 6, 2008 @08:50:45

石鹸膜は変分原理に従うことがわかりますが、粘菌の行動が変分原理に従うかどうかはわかりません。少なくとも、石鹸膜のように瞬時に張るわけではなく、伸び縮みして形を作りますから。餌の量にも依存するようなので、話は決して簡単ではないと思います。
朝顔のツルが巻くのはコリオリ力のせいか、という話に近いかもしれません。それほどには違わないのかもしれません。
 
というような回答があることを承知で書いておられるように思いますが
フォークト・カンプフ・テストみたいですよ。

13. 杜松 — October 6, 2008 @11:18:43

「石鹸膜も粘菌も同じように賢い」ではそれほどインパクトがないように思うので、この研究では、
「粘菌の方がもっと賢い」という結論になるのか、ならないのかということを疑問に思っています。

Owner Comment きくち  October 7, 2008 @01:11:51

はいはい、そろそろやめましょうね。

Up15. 小徹 — October 7, 2008 @00:36:16

>杜松さん
こういう研究のキモは「どっちが賢いか」ではなく「なぜ賢いのか」です。
どっちが賢いかは、それぞれを磨き上げていない段階で判断してもあまり意味がないです。

・・・ってことをきくちさんも書かれているのだと思いますが。

16. 杜松 — October 7, 2008 @08:22:57

>こういう研究のキモは「どっちが賢いか」ではなく「なぜ賢いのか」です。

つまり、「粘菌が賢い(問題を解くことができる?)のはなぜかを解明」したことが、研究が評価されたポイントであるということですね。

17. 杜松 — October 7, 2008 @08:34:31

「単細胞である粘菌が賢いのは面白い」というのがポイントと私は思ったもので、私のこの認識がそもそも間違っていたということですね。

Owner Comment きくち  October 7, 2008 @09:18:09

本当に最初からそう考えて書いておられたのだとしたら、石鹸膜との違いがわからないという投稿は「心にもないこと」だったわけですね。
 
では、「杜松さん」はこれにてお引き取りください。

19. 亀@渋研X Website — October 7, 2008 @09:23:10

だいぶ濃厚な「ふ臭」が漂っていますが、
似た傾向の人が複数いるのだとしても、
同一人物なのだとしても、いずれも興味深いことです。

不思議な構造だなあ。理解し難い現象だからでしょうか。

今日の研究課題:なぜ「ふ臭」が生じるか。
仮説:モニタ越しに嗅覚は利かないのだから幻臭。
(先に進めなくなった(QQ)

これ↑はフォークト・カンプフじゃなくて、人工無能のマネをする天然無能。
天然だから安全です。

おじゃましました m(_ _)m。

Up20. ちがやまる — October 7, 2008 @18:27:15

あと30分くらいでノーベル物理学賞が発表になりますね。誰かな?

Owner Comment きくち  October 7, 2008 @18:32:20

あ、ほんもののノーベル賞のことは忘れてました(^^;

22. TAKESAN Website — October 7, 2008 @19:21:04

今晩は。
 
今、ニュース速報で出ましたよー<ノーベル物理学賞

Owner Comment きくち  October 7, 2008 @19:27:55

どうやら、すごいことになったようで

24. 杜松 — October 7, 2008 @20:02:04

>本当に最初からそう考えて書いておられたのだとしたら、石鹸膜との違いがわからないという投稿は「心にもないこと」だったわけですね。

なぜそうなるのですか?
石鹸膜よりも賢いのか?そうでないのか?、よく分からないという話なんですけども。例えば、よく分かりませんが、
もしも「石鹸膜はローカルミニマムに引っかかるけど、粘菌はそうではない」とか、になれば
粘菌の方が賢い(気がする)とか、そういうことなのかもしれませんし。粘菌の方が賢そうな気もするけれどよく分からないな、ということです。

UpOwner Comment きくち  October 7, 2008 @20:10:35

お引き取りください

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