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フグ食べるときの“鉄則”大公開
【食とレジャー情報】
フグは食いたし、命は惜しし-。最近では、養殖モノの普及で、年中食べられるようになったが、天然フグはいよいよ、これからがおいしい季節。そんなシーズンインを前に、今年もフグの肝を食べて死亡した犠牲者が早くも現れた。フグ毒の注意点を改めて専門家に聞いた。(2005.10.14掲載)
★青酸カリの千倍超
フグが最もおいしい時期は、10月から3月ごろまで。その矢先の先月半ば、愛知県の男性(51)が、友人が釣ったショウサイフグを自分で調理し、肝臓の刺身を食べて急死した。
食品安全委員会かび毒・自然毒等専門調査会の専門委員、塩見一雄・東京海洋大学教授(以下同)が警告する。
「ショウサイフグは、体長がトラフグの半分程度(30センチ前後)と小ぶりだが、毒はトラフグより強い。ましてやすべてのフグで食用が禁止されている肝臓を食べるのは、非常に危険だ。扱い慣れた漁師の間でもフグ中毒が起きており、フグは『自分で調理しない』が鉄則です」
フグは世界で約120種いて、うち日本近海にいるのは約40種。その中で22種が1983年、旧厚生省によって食用とされた。トラフグはもちろん、ショウサイフグも、その1つである。
フグの毒はテトロドトキシンという化学物質で、その毒性は青酸カリの千倍以上もある。
「フグの毒は知覚神経や運動神経をマヒさせる神経毒です。最後は呼吸中枢などをマヒさせて呼吸ができなくさせるため、死亡することが多いのです」
★1匹ごとに違う
フグ毒は胃腸から吸収されやすく、その中毒の症状は食後30分から数時間程度で起きやすい。
症状はまず口唇や舌、手足の指先などがしびれ、時に吐いたりする。やがて手足の感覚がマヒし、動きも鈍くなる。さらにからだ全体を動かすことができなくなり、声も出せず、呼吸困難に陥り、最後は意識もうろうとなって、呼吸がマヒ・停止する。
先の愛知県の男性は食後、唇のしびれなどを訴えたが、そのまま寝てしまった。翌朝、起きないので家族が救急車を呼んだが、すでに死亡していた。
毒の強さとともに、問題となるのはその量だ。
「フグ毒の含有量がもっとも多いのは肝臓と卵巣、次いで皮や腸に多く、精巣や肉(筋肉)には少ない。ただ、それもフグの種類や産地、季節、さらに個体によって大きく違う。つまり1匹ずつ違い、これなら100%安全だという保証はありません」
★必ず許可店で
フグの種類別で見てみると、たとえば高級フグのトラフグの場合、肝臓と卵巣、腸に毒があり、毒がほとんどなく、旧厚生省通知で食べていいとされる可食部位は、肉と皮と精巣だ。
外見がトラフグに似ているカラスや、大衆フグ料理向きのシマフグも同じ。
ショウサイフグや、大衆フグ料理に使われることが多いマフグで食べていいのは、肉と精巣だけ。
「フグを食べるなら、都道府県別の条例に基づくフグ取り扱いなどの登録者がいて、フグ販売営業などの許可を得ている店を選びましょう」
中国の一部を除けば、世界でフグを食べるのはほぼ日本だけ。免許のない人が自分で調理するということは、常に命を落とす危険性があることを“肝”に銘じておきたい。
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■“フグ肝特区”認められず
8月初旬、厚生労働省は佐賀県などから提案されていた、食用が禁止されているフグの肝臓を特別な養殖法で無毒化し、地域を限定して解禁する「フグ肝特区」プランに対し、安全性が確認できないとして通知した。
佐賀県などが提案したのは昨年6月。この1月、厚労省が食品安全委員会にその安全性の評価を求めた。8月初め、同委員会が「安全性確認できず」と評価し、それを受けて厚労省が判断を下した。
ところで、フグになぜ毒があるのか、という原因のメカニズム(毒化機構)は、実は完全には分かっていない。
「エサ由来の食物連鎖説が最有力であることは間違いないが、フグの腸内細菌による合成説、フグ自身による合成説などもあり、はっきりしていません」と、塩見教授はいう。
毒を生産するのは、ビブリオなどの海中にいるごくふつうの細菌で、その毒がカニやヒトデなどにたまり、それをエサにするフグの体内にたまる。これが食物連鎖説だ。
長崎大学の研究グループはこの食物連鎖説を根拠に、無毒化したトラフグの養殖に成功した、とした。つまり、海中の細菌が入り込まないようにする養殖法を開発した。
「フグの毒化が食物連鎖で決まりというわけではないので、どこまで安全か否かの判断は難しい。人命にかかわることだけに、簡単に答えは出せない」(塩見教授)
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