分権型社会の創造に向けて
最終更新日:2008年 1月 15日
地方分権は、単なる国と地方自治体との間の問題ではなく、「まちづくり」や「くらしづくり」など、市民の皆さんの生活に直接関係する大切な問題です。 市民の皆さんの声が十分に届き、その意見を反映したまちづくりや施策を進めていくためには、最も身近な基礎自治体である市町村を中心として地方分権を進めていく必要があります。
真にゆとりと豊かさを実感できる分権型社会の実現に向け、みんなで考え、取り組んでいきましょう。
地方分権が進めばどうなるの
地方分権の推進によって、次のように、それぞれの地方自治体が全国同じようなやり方ではなく、住民の意思を反映して地域の実情に応じた施策を自主的・総合的に推進することが可能となり、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現が図られることになります。
- 個々の地方自治体が、それぞれの地域の実情や住民ニーズに応じた、きめ細かで多様な行政を推進することができるようになり、より一層魅力と活力あるまちづくりが進みます。
- 地方自治体に対する国の許認可などの関与や規制が少なくなることに伴い、これまで国への説明等に要していた手続などが簡略化されるなど、より一層効率的で総合的な地方行政の推進が可能になります。
これまでの改革と残された課題
国と地方自治体との関係を抜本的に見直し、従来の上下・主従の関係から対等・協力の関係に転換させるため、知事や市町村長等に国の事務を処理させる仕組みである機関委任事務制度が平成12年4月に廃止されました。これに伴い、地方自治体が自らの責任において地域の実情に即した判断ができるようになり、地域の行政に住民の意向が反映されやすくなるほか、国との調整のための時間とコストも省かれるようになることが期待されます。
このほかにも、地方自治体に対する国の関与等の抜本的な見直しや権限の移譲などが行われました。
しかしながら、地方自治体が自主的・総合的な行政を推進するためには、地方税財源の充実や更なる権限移譲、国と地方の役割分担の明確化等が不可欠であり、地方分権の推進には、まだまだ多くの課題が残されています。
分権が進んでも、地方自治体の財源は十分あるの?
地方分権と地方税財源の充実
地方自治体が事務事業を自主的・総合的に実施できるように、国と地方との役割分担に応じた地方税財源の充実を図ることが必要です。
平成18年度までのいわゆる「三位一体の改革」により、所得税から個人住民税への3兆円規模の税源移譲が実現したものの、現在の国・地方自治体間の租税配分は平成19年度当初予算ではおおむね6(国税):4(地方税)に対して、実質の配分では3(国):7(地方)と逆転しています。つまり、地方自治体が必要なお金の多くは、依然として一度国に集められ地方交付税や国庫補助負担金等を通じて、地方に配分されるという制度になっています。
仕事の実態に合った国と地方の税源配分の是正
国・地方における租税の配分状況(平成19年度当初予算)
大阪市と税財源
大阪市が、自主的で責任ある行財政運営を行っていくには、大都市の行財政需要に対応する税源の配分や税制を見直すことが必要です。
大阪市は、高密度な経済活動の場となっており、市内で納められる税は平成16年度で国税、地方税合わせて約5.3兆円と非常に多額ですが、豊かな税源を充分吸収しえない税制度のために、このうち市税として大阪市に入る割合はわずか12.5%にすぎません。
市域内税収に占める大阪市税の割合の低さ
大阪市域内税収の配分状況(平成17年度決算)
望まれる大都市制度の充実
大阪市は、昼間人口が360万人にも達する大都市です。大都市は、他の市町村と同じように基礎的な自治体ですが、多くの人びとや産業が集まることに伴い、さまざまな課題に柔軟に対応するとともに、良好な都市環境を創造していくことが求められており、こうした大都市の機能にふさわしい制度が必要となります。
しかし、現行の政令指定都市制度は、昭和31年に創設されたもので、50年以上を経過した現在では不十分な点も多く、また、これまでの改革は都道府県や市町村全般を対象としたもので、大都市にとっては十分なものではありません。
大都市が、活力と魅力ある総合的な行政を推進するには、より一層の大都市制度及び大都市税財政制度の充実が必要です。
地方分権の推進に向けた国の動き
平成7年~平成11年
平成7年5月 | 地方分権推進法が成立 |
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平成7年7月 | 地方分権推進委員会が発足 |
平成8年12月~ 平成9年10月 | 地方分権推進委員会による第1~4次勧告 |
平成10年5月 | 政府が地方分権推進計画を作成 |
平成10年11月 | 地方分権推進委員会による第5次勧告 |
平成11年3月 | 政府が第2次地方分権推進計画を作成 |
平成12年~平成16年
平成12年4月 一部の例外を除く。 | 地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行 |
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平成12年 8月、11月 | 地方分権推進委員会による意見 |
平成13年6月 | 地方分権推進委員会が最終報告を内閣総理大臣に提出 |
平成13年7月 | 地方分権推進委員会が解散し、新たに地方分権改革推進会議が発足 |
平成14年6月 | 地方分権改革推進会議が中間報告を内閣総理大臣に提出 |
平成14年10月 | 地方分権改革推進会議が「事務・事業の在り方に関する意見」を内閣総理大臣に提出 |
平成15年6月 | 地方分権改革推進会議が「三位一体の改革についての意見」を内閣総理大臣に提出 |
平成16年5月 | 地方分権改革推進会議が「地方公共団体の行財政改革の推進等行政体制の整備についての意見」を内閣総理大臣に提出 |
平成18年~
平成18年12月 | 地方分権改革推進法が成立 |
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平成19年4月 | 地方分権改革推進法の施行、地方分権改革推進委員会が発足 |
平成19年5月 | 地方分権改革推進委員会が「地方分権改革推進にあたっての基本的な考え方」を公表 |
平成19年11月 | 地方分権改革推進委員会が「中間的なとりまとめ」を公表 |
(参考HP) → 内閣府 地方分権改革推進委員会
更なる改革に向けて −これからの取組み−
大阪市をはじめとする大都市が、まちづくりなどさまざまな課題について自主的で総合的な行政を行うためには、引き続き国及び都道府県からの大幅な権限の移譲や関与の見直しを推進するとともに、国と地方の役割分担に応じた税源移譲などにより地方税財源を充実確保することが不可欠です。
税源移譲を行うことにより、地方自治体の行財政運営における自由度が高まり、また住民にとって受益と負担の関係がわかりやすいものとなることで、地域の実情に応じたより効果的で効率的な施策の推進が可能になります。
今後も、大阪市では、「自己決定・自己責任」という分権改革の基本原則のもと、まちづくりや施策の自主的で自立的な推進に向けた取組みを着実に進めるとともに、地方分権の推進に向けて、他の政令指定都市とも連携しながら、国等に対して要望活動を続けていきます。