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【社会】

「住所は公園」認めず 最高裁初判断、ホームレスの上告棄却

2008年10月4日 朝刊

 テント暮らしをしている公園の所在地が住民基本台帳法上の「住所」として認められるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法廷(津野修裁判長)は3日、「社会通念上、住所として認められない」とする初判断を示した。

 大阪市北区の公園を住所とする転居届を受理しなかった区長の処分は違法として、ホームレスの山内勇志さん(58)が訴えていた。最高裁は山内さんの上告を棄却。公園を住所地とする住民登録を認めた一審判決を取り消し、山内さん側敗訴とした二審判決が確定した。

 住所について、津野裁判長は「社会通念上、客観的に生活の本拠としての実体を備えていること」と定義。その上で、山内さんに関し「都市公園法に違反し、不法に設置されたキャンプ用テントで公園施設の水道設備などを利用しており、生活の本拠としての実体を備えているとはいえない」と指摘。公園の所在地は住所に当たらないと判断した。

 山内さん側は「住所として住民登録できなければ選挙権の行使や、パスポートの交付を受けられず、憲法で保障された市民生活上の権利が侵害される」と主張。公園を占有する権原の有無でなく、生活の場所かどうかで判断すべきだと主張していた。

 高裁判決によると、山内さんは2000年ごろから同市が管理する北区の扇町公園にテントを設置して生活。04年3月に公園への転居届を同区役所に提出したところ「公園の適正利用を妨げる」として受理されなかった。

 

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