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【放送芸能】

アニメ歌手の夢 実現 コンテストでカナダ人女性が優勝

2008年10月4日 朝刊

全日本アニソングランプリで優勝したカトリーヌ・セント−オンジュさん=東京都港区で(石井裕之撮影)

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 先月二十一日に都内で行われた「第二回全日本アニソングランプリ」(ジュピターテレコム、アニマックス共催)で、カナダ人女性のカトリーヌ・セント−オンジュさん(28)が優勝した。日本のアニメが世界中で視聴され、楽しまれていることは知られているが、彼女の出現は主題歌や挿入歌など「アニメソング=アニソン」も世界に羽ばたいていることを証明したといえそうだ。 (宮崎美紀子)

 「本当にうれしい。それだけしか言えないです。これ以上の大きな驚きは今まで経験したことがありません」

 日本語と英語を交えて、消え入りそうな声で恥ずかしそうに語るカトリーヌ・セント−オンジュさん。「私はシャイですから」と本人が言う通りのおとなしい女性だが、マイクを握れば人が変わる。「全日本アニソングランプリ」は東京大会こそ準優勝だったが、決勝大会では完ぺきな日本語歌詞の発音と圧倒的な歌唱力で一回戦、二回戦を勝ち抜き、決勝ステージに進出。アニメ「Fate」の主題歌「きらめく涙は星に」でグランプリを射止めた。

 優勝者にはアニメ主題歌でのデビューが約束されている。「今も同じようにレストランでアルバイトをしている。別の世界みたい…」と実感を得られないようだ。

 来日してまだ半年だが、日本語でのアニソン歌唱歴は十三年にもなる。子供のころからカナダのテレビで「魔法使いサリー」「キャンディキャンディ」など日本アニメの吹き替え版を見ていた。やがて日本語音声のビデオや資料を自ら探すようになったという。そのうち歌も好きになっていった。

 「一番最初に歌ったのは『スレイヤーズ』。林原めぐみさんの声を聴いた時に、かわいくて本当に日本語が好きになりました」。日本の女の子も夢中になった「美少女戦士セーラームーン」もレパートリーの一つ。取材中、かわいそうなほど緊張していた彼女だが、この歌をアカペラで歌ってくれた時は、はじけるような笑顔を見せた。

 「欧米のアニメは一話一話が完結していて、ドタバタの面白いものが多いけど、日本のアニメは続きものが多く、続きを見ないといられないほどのめりこめる」と日本アニメの魅力を語る。

 歌詞を読みながら音を耳で覚え、歌詞で漢字を勉強し、日本語とアニソンを自分のものにしていった。

 日本に来た理由を、「笑わないでください」と丁寧な日本語で切り出した後、きっぱりと続けた。「私は本当に日本で“アニメソングの歌手”になりたいんです」。海外でアニソンのイベントやオーディションに参加したが、決勝に残ってもトップに立てなかった。「ある時点で、これはもう、日本に行かなければならないと決心した」と振り返る。

 レコード会社にデモテープを送ったり、カラオケボックスで一人で練習を重ね、やっとつかんだ夢への入り口。「スキマスイッチ」の常田真太郎プロデュースで、来年春にアニマックスで放送される新作アニメの主題歌でデビューする。「憧(あこが)れは水樹奈々さんや梶浦由記さん。自分の歌で人の心を動かせる歌手になりたいです」

 

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