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「求愛」の時、鳥の脳は活性化

10月1日15時17分配信 医療介護CBニュース


「求愛」の時、鳥の脳は活性化

キンカチョウ。右から雄、幼鳥、雌(理化学研究所提供)

 鳥が「恋歌」を歌っている時、脳は幸せを感じている-。理化学研究所(理研)は10月1日、「雄の鳥が雌に求愛の歌(恋歌)を歌っている時、雄の脳内の『報酬系』の神経回路が強く活性化していることを発見した」と発表した。麻薬という人工的な刺激による場合も、求愛の歌を歌うという自然の刺激による場合も、同じように神経回路が活性化していることが分かり、理研では、「ゲームなどの習慣性や麻薬の依存性に関する脳の機能や行動の影響を知るヒントになる」としている。成果は、同日付の米国の科学雑誌「PLosONE」に掲載された。

 人間をはじめとする動物の脳は、食物や性行動など「報酬刺激」に対し、快感を得る神経回路を持っている。この回路の中で、脳内の報酬信号は、ドーパミンという神経伝達物質を含む細胞(ドーパミン作動性神経細胞)の活動が増強してもたらされると考えられている。こうした仕組みは、麻薬など人工的な「報酬刺激」によるものと同じで、ドーパミン作動性神経細胞へのシナプス伝達の増強が確認されているが、自然の「報酬刺激」でシナプスの増強が起き、ドーパミン作動性神経細胞が活性化しているかどうかは不明だった。

 理研脳科学総合研究センターの発声行動機構研究チームは、雌に求愛する時には「恋歌(direct song)」を、雌がいない時には「さえずり(undirect song)」を歌い続けるキンカチョウという鳥に着目した。同チームは、雄のキンカチョウ32羽を数日間、ほかのキンカチョウから隔離し、▽雄1羽だけでundirect songを歌わせる▽雄1羽に雌2羽を見せ、direct songを歌わせる▽雄1羽に雌を見せながらも、歌おうとすると邪魔をして歌わせない-の3つの状況について実験した。
 その結果、雄が雌にdirect songを歌ったグループと、雌を見ながらも歌わなかったグループでは、ドーパミン作動性神経細胞へのシナプス伝達が著しく増加したが、雌が不在でundirect songを歌ったグループでは、シナプスは変化しなかった。

 同チームでは、「雄が雌にdirect songを歌ったグループと、雌を見ながら歌わなかったグループで起きたシナプス伝達の増強は、1羽で数日隔離された後に雌を見たことによる雄の興奮に由来すると考えられる」としており、実験を通じて、雄が雌に「求愛」している時、報酬にかかわる脳の部位の活動が増強することが明らかになった。
 同チームでは、「研究で、麻薬で活性化される神経回路が、求愛など自然なかかわりでも、同様に活性化されることを示した。『報酬系』の神経回路がどのように増強されるか、逆にどうすると妨げられるかのメカニズムを解明できれば、ゲームなどの習慣性や麻薬の依存性によって引き起こされる行動を抑制・停止する方法を見いだすことにつながる」などとしている。


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最終更新:10月1日15時17分

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