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米リーマン破綻:政界に波及 与党出遅れ民主攻勢へ

 米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻(はたん)による世界規模の金融ショックは、自民党総裁選の勢いに乗じ、補正予算も先送りして早期の衆院解散・総選挙になだれ込もうとする与党の戦略にも冷水を浴びせた。自民党内には「にぎやかムードとはいかなくなった」との危機感があるが、有効な対策を見いだせずにいる。逆に民主党から補正予算案の国会審議と採決を提案され、守勢に回った。影の薄かった民主党は、首相交代による政治空白と経済無策を追及する「見せ場」とばかりに攻勢に出ている。

 「リーマン問題に遊説で意識的に触れてほしい」。自民党の保利耕輔政調会長は16日、総裁選候補5陣営の代表を党本部に集めて指示した。日本経済への波及が懸念される中、総裁候補たちが積極的な対応をアピールしなければ、世論の逆風を受けかねないためだ。

 与党内では、総合経済対策の裏付けとなる08年度補正予算案の成立を待たない早期解散の流れが強まっていたが、リーマン・ショックを受け、自民党金融調査会などの合同会議は17日、補正の早期成立を求める提言を政府・日銀に提出した。

 これに関連し、与謝野馨経済財政担当相(70)は記者団に「中小企業にとって年末の資金繰りは死活問題。補正予算を審議し、なるべく早い段階で通過させ、中小企業経営に資するようにするのが政治の責任だ」と述べた。

 麻生太郎幹事長の周辺も「麻生氏は補正予算に取り組む姿勢を示すだろう。総合経済対策も膨らませて麻生色を出す。それ抜きの解散はあり得ない」と、解散の前倒しムードをけん制した。

 ただ、臨時国会で予算委員会を開けば、経済対策だけでなく、汚染米問題や厚生年金記録の改ざん問題などを野党から追及されるのは必至。解散前に存在感をアピールしたい民主党は「追及の材料はいくらでもある。衆院選が延びるほど、こっちが有利になる」(国対幹部)と手ぐすねを引いている。自民党内では「早く解散するしかない。経済対策なんてすぐには効果が出ない」(閣僚経験者)という早期解散論との間で、動揺が広がっているが、司令塔不在で判断ができない状態だ。

 早期解散論で固まる公明党は、太田昭宏代表が17日、福田康夫首相にリーマン・汚染米問題での迅速な対応を要請したが、党内では「解散に絡めるべきではない。別個の問題だ」(幹部)との声が大勢だ。【中田卓二】

毎日新聞 2008年9月17日 21時00分(最終更新 9月18日 1時56分)

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