県内の特集
闇を抱えた恋人たち 県内デートDVの現状
■自分飾るステータス
自分が自分らしく生きること―。恋人から過度な束縛や暴力を受けるデートドメスティックバイオレンス(DV)の被害者にとっては、そんな当たり前のことさえ日常的でなくなってしまう。
県央部の20代女性は、幼なじみの男性と食事したことをきっかけに、恋人から携帯電話の発着信履歴チェックや「今からお風呂に入る」などの行動報告を求められるようになった。監視の目は今も厳しい。ストレスや圧迫感を抱えつつも「別れたくないし、彼に心配をかけた自分が悪い」と、恋人の機嫌をうかがいながら交際を続けている。
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いずれも根底に、恋人を自分の所有物のように思い込むゆがんだ支配欲がある。配偶者間のDVに比べ、若い世代が中心のデートDVには女性が加害者となる事例も珍しくないという。コミュニケーション能力が低下したといわれる中、恋愛という一対一の濃い人間関係をつむぐ若者たち。県内でデートDVに唯一取り組む市民団体「ハートスペースM」が開く高校でのデートDV講座終了後、生徒が感想を書くアンケートには、その恋愛感が透けて見える。
「束縛されるのは好き。束縛してくれないと本当に自分のことが好きなのか不安になる」「友達の中では、ほかの男子とメールや電話をすることは浮気で、異性とかかわらないことがいちずな恋というのが常識」
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若者の間では「恋人がいる」ことが一種のステータスであり、恋人は自分を肯定してくれる存在ともいえる。
県内の女子生徒(18)は「彼氏がいることもだけど、友達に『彼氏かっこいいね』とか言われたり、街を歩いていてほかの人が彼氏を振り返ったりすると優越感を感じる。少し嫌なことをされても我慢できるよ」と屈託なく笑う。
デートDVが起こる背景について、ハートスペースMの財津三千代代表理事は支配欲のほか、「男らしさ」「女らしさ」に象徴される男女の役割に対する固定概念や、社会の暴力容認姿勢を挙げる。
若者たちの恋愛観に
【写真】ハートスペースMが行うアンケートからは現代の若者の恋愛観が見て取れる
(2008年9月19日付)
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